猫な日本語

日本語ネイティブの知らない日本語のステキな秘密♪
猫まみれです、悪しからず。

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せめてこれだけは。

 

 


今年もこの日がめぐってきます。

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年々記憶が薄れていくのを、どう留めようもないのを感じます。

いや、南関東に住む私の場合、

その記憶が、そもそも2次的、3次的な、希薄なものでした。

 

2011年の春のあの日、私は東京都心にいました。

いわゆる帰宅難民になって、都内をさまよいはしましたが、

東北に住む知人、友人、親族を、誰一人失うことなく済みました。

その後の計画停電にちょっと振り回されたくらいで済みました。

当日街頭で見た映像の衝撃から、その後数か月、自宅のテレビは封印、

新聞も、数日遅れで、しかも半目を閉じて読み飛ばすありさま。

 

だから、記憶の中身が、そもそもスカスカなのです。

被災なさった方々の苦しみを想像しようにも、

生ぬるい体験の記憶と、貧しい想像力では、限りがあります。

 

だから、あすも、黙祷はしません。

目を閉じて首を垂れてみても、むしろ失礼な気さえするから。


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地震も、津波も、自然災害だった。

減災の努力はすべきだけれど、自然災害は防ぎようがない。

あの後も、阿蘇、広島、御岳山、鳥取、熊本、岩手、......

地震や豪雨や噴火による自然災害は続きました。
起きてしまったことは、あきらめるしかないのかもしれない。

――そんなふうにすら、考えます。
 

 


でも、ひとつだけ、ありありと想像できる苦しみがあります。

肉体的な痛みを感じるほどに、具体的に、事細かに想像できる辛さが。

そして、それは防げたはずのものでした。

 

 

福島です。

 


「すぐ戻るからね。」

そう言って、猫のお皿にカリカリを山盛りにして家を出た人々。
「じき迎えにくるからね。」

そう言って、飼い犬を庭につないだまま避難の車に乗り込んだ人々。

 

犬は、「うん、わかった。」と無邪気な目で答えたことでしょう。

猫は、「コタツ切ってくの?」とご機嫌ななめだったことでしょう。


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帰れなかった。
迎えになんか、戻れなかった。

 

「じきに」どころか、「すぐに」どころか、

何日も! 何週間も! 何か月も!

 


鎖につないだままの犬は、どうなったろう。
空っぽのお皿を、猫は何度のぞいたことだろう。

 


信じてこちらを見上げてきた犬の瞳を、

避難所の駐車場で、飼い主さんは何度思い出したことでしょう。

せめて窓を開けて来ればよかったと、

猫を閉じ込めてきた飼い主さんは、何度ご自分を責めたことでしょう。

 



想像しただけで、胸が苦しい。

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だから、原発の再稼働だけは許せない。
絶対に許せない。

 

 

去年の3月、わが家は電力会社を乗り換えようと決めました。
が、じつは、情けないことに、まだ実現できていません。
選択肢がうまく整理できなくて、これ、と決めることができぬままです。

でも、節電だけは続けています。
トイレの便座暖房や温水機能は、あの春から一度も使っていません。
冬のあいだ、しごとはできるだけストーブのある2階でしています。

夏のエアコンは、もとより使っていませんでした。

真っ昼間の駅のホームに煌々と電灯がともっていれば、

(遅刻しそうなときでない限り、)駅員さんに苦情を言います。

 

そんなチマチマしたこと、と笑わないでください。
みんながチマチマ節電すれば、原発を止められると、

私は本気で信じています。

原発事故のために置き去りにされた犬猫、そして牛や馬、鶏、

彼らを置き去りにして逃げざるを得なかった人々、

その苦しみだけは、経験していなくても、痛いほどに想像できます。

だから、その痛みを手がかりに、今年も、決意を新たにしています。

ちっぽけな、だけれど、私にとってはとても重大な、決意です。

 

電気の無駄遣いはしない。

小さくても、やれることは、やる。

「どうせ」ということばは、使わない。

 


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| 書いておきたいこと | 08:41 | comments(9) | - |
コメント
すぐ戻るつもりで家を出たのに戻れなかった。
この大災害のなかであれは唯一の人災。
おばさまの筆力が背筋を伸ばしてくれました。
うちの猫らがのんびりと寝ている日常に感謝して
「どうせ」という言葉を蹴飛ばしたいと思います。
心に染みる文章をありがとうございました。
| こてち | 2017/03/10 10:31 AM |
そうです!小さなことでも続けよう、忘れないぞという私の意地…
使わない電化製品は、馬鹿ね〜と笑われながら、捨てました。少し不便になりましたが、私に出来ることを何時も考えています。
イベントでは毎年「忘れないで!」と募金(被災地の動物達へ用)もしてきましたが、このところ関心が薄れているように感じています。
意地っ張りなので、個人的に続けるつもりでいますが・・・・・
 あの残された動物たちの姿がどうしても消えません。泣き虫なので、涙でパソコンの画面が見えなくなりました・・・・・
 こちらのメッセージに何時も励まされています!!有難うございますm(__)m
| himetarou | 2017/03/10 3:30 PM |

◇こてちさん、コメントをありがとうございます。◇
こういう「重め」の記事を書いたとき、お一人でもコメントをいただけると、ほんとうにうれしいものですね。迷いながら書きましたが、書いてよかった。きょうの『猫ネコ英語』のリンク集、みなさんに活用していただきたいです!

◇himetarouさん、コメントをありがとうございます。◇
反応がいただけると、ほんとうに心強く感じます。現場で日々奮闘していらっしゃる方からのコメントには一層の力があります。こちらこそ、ほんとうにありがとうございます。いろいろな意味を込めて、感謝!
| ニャンタのおば | 2017/03/11 9:21 AM |
書いては消し、書いては消しして
結局言葉が出ませんでした。
ただ、おばさまのこちらの記事に敬意を述べたくて。
だめだなぁ、今日はなんも出ない。。。。。
おばさまの御心に、深謝です。
| 藏ゆ | 2017/03/11 10:41 AM |
私も一度途中まで打って・・・書き込めませんでした (〉_〈)
すみません;
テレビでも未だに津波の映像も直視出来ず、おばさまの書かれている
すぐに帰ることの出来なかった福島の・・・も同様です;
ちゃんとしなくてはという思いはあるのですが (T_T)
なので、募金や節電しか出来ません (・・)
| ж∫цж | 2017/03/11 12:23 PM |
6年前のあの時、ちょうど車の運転中で信号待ちをしていました。
今でも同じ場所を通るとき思い出します。
決して忘れないし、自分でもできることは本当に小さな事ですが
続けることが大事だと思います。 

| おっチョコ | 2017/03/11 1:05 PM |
隣国台湾では脱原発法が可決されて、2025年までに脱原発を実現するために本腰を入れてますね。
推移を見守りたいと思います。
同じ島国日本は、福島の事故が起きても脱原発にすすまない…なぜ?
あの日置き去りにされた動物たち、わたしもその事が一番くやしく悲しかった。

おばさまがおっしゃるように、重い記事ですよね。
だからこそ、ひとこと残さねばと思いました。
傍観者でいてはダメですね。
明日は我が身なのだから…。

| みわこ@奈良! | 2017/03/11 7:12 PM |
今回の記事に敬意を込めて深々とお辞儀。
細々とでも続けていくこと。
どこかに何かがつながりますように。
どこにだれにはわからないけれど
ゆらゆらしたり立ち止まったりしながらでも。
あぁ、うまく言えなくてごめんなさい。

| ぽぽろ | 2017/03/11 9:01 PM |

◇藏ゆさん、遠野の地から、コメントをありがとうございます。◇
釜石を初め甚大な被害を受けた沿岸部に向けて支援の基地となった遠野。その地で女将さんがあの激動の日々に体験なさったことも、私はのほほんと想像するしかなくて.....、猫と暮らす身では、これが精いっぱいの「本気の想像」なのです。敬意だなんて、恐れ多い。でも、ほんとうに、ありがとうございます。

◇ж∫цжさん、ギリギリのコメントをありがとうございます。◇
映像はときに心を傷つけてしまいます。及ぶ限りの想像力に任せて想像し、映像は見ない、――という判断もあっていいと思っています。確かにむごたらしい現実があった、そのことをしっかり知って、忘れずにいて、そうしてできることをする。「ヘタレ組」は、そういう判断で動きましょう。

◇おっチョコさん、コメントをありがとうございます。◇
忘れずにいる。何を忘れずにいる、か。ときどき、深く掘り下げて、見つめ直すことが必要ですね。しばしば上っ滑りしがちな自分を振り返って、自戒しております。

◇みわこ@奈良!さん、コメントをありがとうございます。◇
あのニュースには喝采を送りました。今学期、2人だけクラスにいた台湾からの留学生に「尊敬します!」と伝えたら、エヘヘ、と笑ってくれました。同性婚の法制化も進んでいるようですし、とても希望の持てる国、というイメージです。日本は、日本は、どこへ向かっているのでしょう。わたしたち国民、しっかりしなくては!

◇ぽぽろさん、コメントをありがとうございます。◇
ゆらゆら揺れながら、温かな一言をありがとうございます。コメントがうれしい、とはつまり、コメント書いてくれ、という催促でしたね。ダメだなあ、わたし。でも、みなさんに励ましていただけて、ほんと、ありがたかったです。
| ニャンタのおば | 2017/03/12 5:23 PM |
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清水由美(=ニャンタのおば)猫ヌキでは例文が作れない日本語教師。いまだニャンタに恋々。ウリが来てくれてよかった、この世に酒があってよかった、と思う日々。

ウリ=2008年初冬、八幡神社の境内で泣いていた女の子。猫とは思えないほど素直で気だてのいい灰色しましま。コムスメだと思ってたらもう8歳!
 
グリコ=2010年暮れ、ご近所の家を出されてわが家の庭猫に。黒地に金サビのおばちゃん。年齢不詳。クールな顔で、甘えるったら甘える。2014年冬、再び家猫に!

ニャンタ=18年近くをともに過ごした、猫度百パーセント、女王気質全開の三毛女史。ヒトの心をわしづかみにしたまま、2008年の梅雨空に、昇天。

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