2017.07.10 Monday
く、くるしい......
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【〜くるしい/ぐるしいコレクション】
単語をしっぽの音から引く、『日本語逆引き辞典』で、
「いしるく」を引くと、出てくる、出てくる。
苦しい、愛くるしい、息苦しい、聞き苦しい、むさ苦しい、
堅苦しい、暑苦しい、胸苦しい、寝苦しい、狭苦しい、
目まぐるしい、見苦しい、耳苦しい、重苦しい、心苦しい
このうち、「目まぐるしい」は、「苦しい」の複合語ではなく、
もとの形は「めまぎろし(目+紛ろし)」だったと考えられるそうな。
つまり「目がちらちらする」、ひいては「煩わしい」ということ。
古語辞典や大辞典を探すと、以下の例が見つかりました。
・散る花といづれ待て蝶めまぎろし(俳諧・埋草)
・舟がつくとあんま御用はといふてくる。
一文菓子売るかか(=嬶)が、
たびたびめまぎろしういふてくる(随筆・肝大小心録)
この2つめの例は、「ええい、うるさいわい!」という気分でしょうか。
今でも保津川下りなどで、物売りの小舟がわらわらと寄ってきますが、
あんな感じで、マッサージやお菓子の御用聞きが集まるのでしょう。
うるさいと言いながら旅先の喧騒を楽しんでいる気配も感じられますが、
いずれそのうち「まぎろし」の語源が忘れられて俗解が進んでいけば、
「目真苦しい」などと書かれる例も出てくるかもしれません。
ともあれ、ここでは「目まぐるしい」は、出自が別ということで、
きょうのお話からは外しておくことにします。
で、残りの「苦しい」の複合語について、改めてその読みを見ますと、
清音のままのものと、「ぐるしい」と濁るものとがあります。
まず、動詞の連用形(マス形)に続くものは、濁っています。
聞き苦しい、寝苦しい、見苦しい
そして、名詞に続くものも、濁点がついて「〜ぐるしい」です。
息苦しい、胸苦しい、耳苦しい、心苦しい
それに対して、形容詞に続くものは清音のまま、「くるしい」。
むさ苦しい、堅苦しい、暑苦しい、狭苦しい、重苦しい
連濁については、いろいろなルールが発見されていますが、
その一つに、「係り―係られ」の関係、すなわち修飾関係があると、
後部要素の語頭の清音は濁りやすくなる、――というのがあります。
なるほど、「聞いているのが苦しい」や「息が苦しい」には、
前の語が後ろの語に係っていく関係が見てとれますね。
一方、濁らないのは、前後の要素が対等に並列しているときです。
「むさくて苦しい」「暑くて苦しい」「狭くて苦しい」など、
たしかに修飾関係はなく、「&」でつなげただけの関係に思えます。
ううむ、見事に説明できるわい、と思ったのですが、
そう、一つ、その説明では片づかないのが残っています。
愛くるしい
この「愛」は、いったい何?
形の上では名詞としか考えられませんが、
意味的には「愛らしい」という形容詞にも取れます。
それにだいいち、なぜ「苦しい」のか?
ほかの「〜苦しい」が全部ネガティブな意味になるのに対して、
これだけは、100パーセントのほめ言葉です。
解せぬ。
暑いのとわからないのとで脂汗がにじむわが脳みそに
そのとき、ポッと浮かんだことばがありました。
萌え死に
おお! 「愛くるしい」のモトは、原理は、これに違いない。
愛らしすぎて身もだえしちゃう、そんな感じ!
品詞問題も、連濁問題も片づかないままだけれど、
意味的には納得できたので(できる気がしたので)、
これにて撤退することにします。
これ以上考えると頭からケムリが出そうですし。
では、おまけ。
暑苦しい猫の、
(PCの排気口に脳天くっつけるの、やめなさいて。)
愛くるしいおてて。
ぐるじい......
苦しくなるほど愛おしい,っていうことなのかなって
思います ^^
ウリちゃまのお手ても可愛くて,グリコさんと旦那様も
相当可愛いです!
包帯の色とグリコさんの色と,旦那様のシャツの色が
とってもマッチしていますね (≧▽≦)