ロシア人は猫がお好き?――な、理由



灰色しましまがぐったりしているのは、

夏バテ?

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――じゃなくて、採点疲れ!

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花

 

さあさあ、お待ちかね、

夏休み恒例、留学生は見た!シリーズの始まりです。


中級日本語の読解のクラスで、
学期末に留学生に書いてもらった作文を、ご紹介します。

テーマは、
日本人から言われてウーン......と思うこと、
何度も同じことを聞かれたりしてウンザリすること、です。


学生の書いた、原文そのままを転記します。
試験時間内の10数分で、辞書も見ないでこれだけ書いてくれました。
また、これはあくまで読解のクラスであって、
作文のクラスではなかったことをお断りしておきます。
(本人たちから、掲載の許可は得ています。)


1日目のきょうは、ロシアのAさんです。
 

 

ロシア人ですから、よくロシアの寒さのこと言われます。「日本の夏って大変だねぇ、ロシア人だから」みたいなことを言われるのがイヤです。地図を見ると、ロシアが赤道に対して日本と大体同じところにありますけど、ある人がなぜかロシアには一年中冬があると思っています。でもそんなことないです。夏は日本と温度があまり違いません、ただ日本の方が湿度が高いのです。ある授業のとき先生に言われたのは「ロシア人は犬より猫のほうが好きって散歩をするのが寒いからね?」。それはちょっと変じゃないですか。

 






まずお断りしておきますが、
「ある授業のとき」の「先生」は、清水ではありませぬ。
いくら私でもそんな乱暴なことは言いませんよ、ハッハッハ。
――と笑い飛ばせればいいのですが、
いや、私も、ロシア=寒い国、というイメージを持っておりました。

あわてて世界地図を見直したところ、
たしかにモスクワと東京の緯度は、
そんなにものすごく違うわけじゃないことを発見。

ただ、「おもな都市の平均気温」といった資料を見ると、
やっぱりモスクワは、東京などよりだいぶ涼しいようです。

とはいえ、なにしろロシアという国は、広い。
中には、日本と大して変わらないほど暑い町もあることでしょう。
気をつけなくちゃな、と思いました。



この作文の、日本語について言えば、
緯度」という単語が出てこなかったらしいAさんは、

赤道に対して日本と大体同じところ」にある、と表現しました。
語学には臨機応変の瞬発力がモノを言う、という好例ですね。



そういえば、Aさんは、7月の猛暑にも
涼しげな表情だったなあ......。
今ごろは猛暑の日本列島を旅しているかしらん。
残りの滞在を、楽しんでくださいね。

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※留学生は見た!シリーズ、2人目はあす火曜日に。

 

コメント

灰色しましまさん、お疲れさまですねぇ。

ロシアの学生さんの文章を読んでまず最初に
「ロシアが赤道に対して日本と大体同じところにあります」に目が留まり、
なんてわかりやすい説明ができる方なのだろう、と思いましたら、
先生もそこを取り上げてらして、ちょっとうれしいわたくし。

単語が出なかったらなんとか他の言葉で説明をせねばならないのだけれど、
単語が思い出せなかったことにすでに動揺していると
説明がどんどんもつれもたつきもやもやになるわたくし……。
十数分でこの説明をやってのける整然とした瞬発力に失礼ながら
つくづく感心しましたです。

分かりやすくて、しかもAさんの気持ちがよく伝わってきます。
こういう場合『日本の夏はどうですか』と尋ねればきっと会話も弾んだことでしょう。

改めまして、ロシアのAさん、日本の夏はいかがですか? 

  • おっチョコ
  • 2017/08/14 11:28

こてちさんも書かれていましたが、
原稿なしで司会や報告をしている時、突然 
単語の“ど忘れ発作”が起こることが有りますが、
  (年のせいか発作の回数が増えました〜(~_~;))
単語についての語意力?と分かりやすく言い換える表現力?が
問われるのですネ〜〜&、慌てない強心臓(>_<)も‥‥

犬猫で表現した“清水先生ではナイ先生”チョット面白い(^_-)-☆

  • himetarou
  • 2017/08/14 14:57

「ロシアが赤道に対して日本と大体同じところにあります」は秀逸ですね.ネパール語やタイ語の語彙に乏しかった時代(今が乏しくないわけではなく,日本にいる今は乏しくてもあまり困らない),私も知ってる言葉を繋いで知らない言葉を伝えることをしゅっちゅうやってましたので,なんか懐かしい感じがします.それを「臨機応変の瞬発力」とか褒められたら,ますます語彙力を磨かなくなってしまってたことでしょう(結局語彙力は磨けてないけど).

  • junbee
  • 2017/08/14 15:19

おはようございます。

語彙が沢山ある方が良いですが
このロシアのかたのように、切り替えが上手に出来る人が
やっぱり言葉を使いこなすには必要かなって思います。
単語1つで通じるわけじゃない時は結構あるし
その時に、アレアレ、アレさ!って説明出来たら
相手もアレのことね!っていう時、日本語でもありますものね。
柔軟性が必要ですなー。

シベリアンハスキー(犬)とかサイベリアン(猫)とか
毛がムッシュで密集ですものね。
あの寒冷地仕様を見ると、絶対夏も寒いハズって
思いますハイ。
湿度がね、酷いですよね。(北海道は無いですけど)
どうぞ良い日本滞在でありますように。

  • solo_pin
  • 2017/08/15 06:35


◇こてちさん、ありがとうございます。◇
やはり日々ふたつのことばを行き来していらっしゃる方は、すぐに気づかれることなのですね。こういう柔軟さと瞬発力は、何によって養われるのでしょう。初級のほんの少しの語彙でも、じつにゆたかな内容を話せる人もいれば、ものすごくたくさんの語彙を持っていてもそこに困難を抱え続ける人もいます。教師の出番以前の、その人の才能というしかない気もして、語学教師としては無力感を感じるところでもあります。

◇おっチョコさん、ありがとうございます。◇
うふ。文通を申し込んでみますか?

◇himetarouさん、ありがとうございます。◇
おっしゃるとおりですねえ。強心臓というか、「だいじょうぶ、私はできる。」と自分に言い聞かせるための静かな自信のようなものでしょうか。そのためにはいくつかの失敗や修羅場を切り抜ける経験も必要なのかもしれませんけれど。

◇junbeeさん、ありがとうございます。◇
ああ、語学教師や翻訳家と違って、junbeeさんのように、ことばを純粋に道具として必要となさる方は、ますます「その力」を必要とする場面が多そうです。でもその力こそが、語彙力と言えるんじゃないかとも思います。っていうか、その力があれば語彙の「数」なんか要らない、っていう意味で。でも、正確さを要する専門用語はまた別の話で、これはギュウギュウ詰め込まなくちゃいけないのでしょうね。

◇solo_pinさん、ありがとうございます。◇
そうそう、アレ! 同じ言語内でも、言い換えが上手にできる人とイマイチな人がいますね。結局は言語を俯瞰できる力ってことになるのかなあ。教師養成講座などでも、残酷なほど、それができる人とできない人に分かれます。母語を俯瞰する方が、いっそう難しいのかもしれません。/北海道もこの夏は内地より暑い日があったり、かと思えばすでにストーブが必要なほど冷え込んだり、なかなかたいへんですね。どうぞご無理なさいませんように。

  • ニャンタのおば
  • 2017/08/15 08:43