2017.08.14 Monday
ロシア人は猫がお好き?――な、理由
灰色しましまがぐったりしているのは、
夏バテ?
――じゃなくて、採点疲れ!
さあさあ、お待ちかね、
夏休み恒例、留学生は見た!シリーズの始まりです。
中級日本語の読解のクラスで、
学期末に留学生に書いてもらった作文を、ご紹介します。
テーマは、
日本人から言われてウーン......と思うこと、
何度も同じことを聞かれたりしてウンザリすること、です。
学生の書いた、原文そのままを転記します。
試験時間内の10数分で、辞書も見ないでこれだけ書いてくれました。
また、これはあくまで読解のクラスであって、
作文のクラスではなかったことをお断りしておきます。
(本人たちから、掲載の許可は得ています。)
1日目のきょうは、ロシアのAさんです。
ロシア人ですから、よくロシアの寒さのこと言われます。「日本の夏って大変だねぇ、ロシア人だから」みたいなことを言われるのがイヤです。地図を見ると、ロシアが赤道に対して日本と大体同じところにありますけど、ある人がなぜかロシアには一年中冬があると思っています。でもそんなことないです。夏は日本と温度があまり違いません、ただ日本の方が湿度が高いのです。ある授業のとき先生に言われたのは「ロシア人は犬より猫のほうが好きって散歩をするのが寒いからね?」。それはちょっと変じゃないですか。
*
まずお断りしておきますが、
「ある授業のとき」の「先生」は、清水ではありませぬ。
いくら私でもそんな乱暴なことは言いませんよ、ハッハッハ。
――と笑い飛ばせればいいのですが、
いや、私も、ロシア=寒い国、というイメージを持っておりました。
あわてて世界地図を見直したところ、
たしかにモスクワと東京の緯度は、
そんなにものすごく違うわけじゃないことを発見。
ただ、「おもな都市の平均気温」といった資料を見ると、
やっぱりモスクワは、東京などよりだいぶ涼しいようです。
とはいえ、なにしろロシアという国は、広い。
中には、日本と大して変わらないほど暑い町もあることでしょう。
気をつけなくちゃな、と思いました。
*
この作文の、日本語について言えば、
「緯度」という単語が出てこなかったらしいAさんは、
「赤道に対して日本と大体同じところ」にある、と表現しました。
語学には臨機応変の瞬発力がモノを言う、という好例ですね。
*
そういえば、Aさんは、7月の猛暑にも
涼しげな表情だったなあ......。
今ごろは猛暑の日本列島を旅しているかしらん。
残りの滞在を、楽しんでくださいね。
※留学生は見た!シリーズ、2人目はあす火曜日に。
灰色しましまさん、お疲れさまですねぇ。
ロシアの学生さんの文章を読んでまず最初に
「ロシアが赤道に対して日本と大体同じところにあります」に目が留まり、
なんてわかりやすい説明ができる方なのだろう、と思いましたら、
先生もそこを取り上げてらして、ちょっとうれしいわたくし。
単語が出なかったらなんとか他の言葉で説明をせねばならないのだけれど、
単語が思い出せなかったことにすでに動揺していると
説明がどんどんもつれもたつきもやもやになるわたくし……。
十数分でこの説明をやってのける整然とした瞬発力に失礼ながら
つくづく感心しましたです。