エウレカ!

★日本語【文体】




そういうことか!

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なんか変だなあ、とは思ったんですよ。

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いやいやいや、
そうか、そういうことだったのか.....。

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何の話って、いや、これ↓なんですけど。
もう一か月以上前になるんですね。
この記事の話なんですけども......、

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10秒を切った!って大騒ぎになったでしょ?

待て待て、おばの小学生時代にもそれくらいの子はいたような気がするぞ。
でも、きっとアレだな、そのコンマ何秒、小数点以下2つ3つの、
そのほんのちょっとの数字の差が、生物としての人類の限界っていうか、
それがきっと、なかなか破れない壁なのであろうな。
まったくもって、きわどいなものなのであるな。

――と、ぼんやり、そう思ってたんですよ。



そしたら、アナタ!



これ、100メートルなんですね。





 

50メートルじゃなく!




やー、すまんことです。
おばちゃん、まるっきり勘違いしてましたわ。

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小学生の体力測定といっしょにしてました〜。


ほんっと、すみません。


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※今週の日本語バナシは「文体」について(↓)。

***

 

文体についての解説】

 


日本語は、文法については、シンプルなほうだろうと思います。
ですが、文体の変異が多い言語です。

話しことば・書きことば、性差、上下・親疎・ウチソト関係、
さまざまな要素が、文体の選択にからんでいます。
 

文体が違えば、それにともなって語彙の使い分けも必要で、
敬語、若者語、ギョーカイ用語、専門用語、等々、じつに多彩。
外国人学習者にとっては、そこがたいへんなところです。

でも、そこを乗り越えれば、ことばづかいを見るだけで、
かなり精確に、人間関係や互いの感情まで読み取れるわけです。
それがたのしい♪と思えるようになれば、学習は大成功。



きょうは、そんな文体の変異のうち、
話す/書く、この違いを見てみましょう。

明治の御一新のとき、われらが先達は苦労しました。

それまでは、藩=国でしたもんね。
各国でてんでに「お国ことば」(=方言)が話されていて、
遠隔地の情報伝達は、手紙、すなわち書きことばでした。
候文などで手紙をやり取りしている分には、
方言の違いもさほど障害にはならなかったでしょう。

でも、日本国成立とともに「話す共通語」が必要になりました。
人々は、話す/書くの差異に、改めて愕然としたことでしょう。
「言文一致運動」なんていうのがありましたが、
その前に、方言の差を乗り越えなければならなかったわけです。

このあたりのことは、ぜひ、井上ひさし『國語元年』を。
とってもスリリングで、おもしろい本です。

**

で、さて、現代語の話しことば/書きことばです。

少し乱暴ですが、ここでは話をぐっと単純化して、
仮に、デスマス体/ダ体の違いとして考えてみましょう。
両者は、以下のように対応しています。

 ・飲みます。 ⇒ 飲む。
 ・飲みません。 ⇒ 飲まない。
 ・飲みました。 ⇒ 飲んだ。
 ・飲みませんでした。 ⇒ 飲まなかった。
 ・猫です。 ⇒ 猫だ。
 ・かわいいです。 ⇒ かわいい。

こうして並べてみると、右側のダ体は、書くときだけでなく、
丁寧じゃないしゃべり方、友人同士の話しことばとしても
使えるように見えます。
事実、使えるでしょう。

が、つぎのような文になると、問題が出てきます。

  ・飲みますか。 ⇒ 飲むか。

  ・猫ですか。 ⇒ 猫か。
  ・猫でしょうか。 ⇒ 猫だろうか。

この場合、ダ体をそのまま友人とのおしゃべりに使えるのは、
男性だけ、あるいは男子っぽい話し方をする人だけでしょう。

あるいは、ちょっとした演説口調とかですね。
そうでない場合、ごくふつうの友人同士のおしゃべりでは、

  ・飲みますか。 ⇒ 飲む?

  ・猫ですか。 ⇒ 猫?
  ・猫でしょうか。 ⇒ 猫かな?

などが選ばれるのではないでしょうか。

つまりほとんどの文において、

ダ体=書きことば=(親しい)話しことば

といえるけれども、あくまでそれは「ほとんどの」であり、
「すべての」文に、それが適用できるとはいえないのです。

***

みなさんの身近に外国人日本語学習者がいたら、
きっとこんな発話を耳になさったことがあると思います。

 「国のお菓子、食べるか?」
 「そうか。あなた、あした、行けないか。」

惜しいというか、残念というか、いや、残念。
独り言だったら、問題ないんですけどね。

独り言の「話し相手」は自分ですから、性差も考えなくてよくて、

頭の中では自在に、こうしたダ体をそのまま使うことができます。

 

という次第で、きょうの記事で「そうだったのか!」だの、

「そういうことか。」と言っているのは、おばの独り言です。

.....独り言にしておけばよかったのに、

オット氏に「いやあ、われながら驚いたよ。」と報告したら、

思いっきり冷たい反応を返されました。

 

 

****

 

昔から算数苦手、数学超絶苦手、と思いながら生きてきましたが、

近年は、少しでも数字がからむと、もう脳みそがシャットダウン。

ちょっと考えればわかるだろう、ということが、わからない。

50メートル走の10秒と桐生選手の10秒を同列に考えるなんて!

 

わが人生の、この先が不安です。

 

コメント

「か」の使い方って面白いですネ!
文末に付けると、疑問符か感嘆符か で、意味がかわり
〇〇か〜××か、だと「又は(Or)」に使えますし…
でも、普段あまり考えずに使っていました〜〜

「そうだったのか!?」
運動会などは見学ばかりだった私には、50メートル送?の経験も無く、
記録など「へーー?ふーん…」の感想でした(>_<)
 もう、数字以前の問題です・・・
それに比べ、ウリちゃんの反応は凄いですニャ(^_-)-☆

  • himetarou
  • 2017/10/16 12:50

50mと100mのタイムの思い違い,面白いです(´▽`)
昔,藩だった頃に海を渡って他国へ行って,そのお国の
言葉を勉強した人達ってすごいなって・・・
明治維新以前のドラマを観ていて思います。
藩がなくなってひとつの国になった時もきっと,同じように
お国なまりを理解するの大変だったことでしょうね (^^)

  • ж∫цж
  • 2017/10/16 18:45

『國語元年』は全国共通話し言葉の作成を任された主人公が最後は
発狂してしまったという悲しいお話でした。

蛇足ですが、私、小学6年の時、50m、8.6秒を記録し、オリンピック選手の
偉大さを認識いたしました。

  • おっチョコ
  • 2017/10/16 20:22


◇himetarouさん◇
「か」は、古文では係助詞として習ったかと思いますが、とにかく疑問や不審を表すところから出発している語です。現代語では終助詞と副助詞に分かれて解説されることが多いですけれど、前にどんな品詞のどんな形が来るか、そしてイントネーションはどうか、など、関連する要素がいっぱいあって、教師の腕が悪いと、学習者は大いに悩むことになります。/それに比べれば、50メートルと100メートルの違いなんて...... いや、大きい! 倍ですもんね!

◇ж∫цжさん◇
ほんとうにそうですね。明治の初めに留学したエリートたちもすごいけれど、漂流漁民とかローマに行った少年たちとか、辞書も学習法も整備されていない状況で、いくら必要に迫られたからとはいえ、すさまじい才能とエネルギーだと思います。自分だったら、船底に閉じこもって、いじけてしまいそうです。

◇おっチョコさん◇
ですよね! この私でさえが10秒を切っていた時代もあったと思うのですが、このニュースを見て、「いやいやそんなはずはない。あれは記憶違いに違いない。」と思っちゃったんですから、わたくしの数字アレルギーは重症です。/井上ひさしさんは、難しいことをやさしく、おもしろく紹介してくださる天才です。改めて、早世が惜しまれます。

  • ニャンタのおば
  • 2017/10/17 09:36

○ こうして見ると、外国人にはわかりにくいのでしょう。
 日本人だって、文法を頭に入れて話しているわけではないので、こうして今回のように解説されると、”なるほど…”と合点がいきます。
 100mを10秒切っちゃうなんて、やっぱりすごい…
 ニャンタおばさまのように、5千円札も1万円札も気にしないで「エ〜ィ持ってけぇ〜」って、使えるようになりたい…♪
         <ののちゃんより>


◇kitcatさん◇
いやいやいや、お札の区別はできます。できます......が、ええ、たしかにときどき間違えて、「え? おつりが少ない。」と思い込み、レジで恥をかいたりします。ああ....../50メートル走の小学生の2倍のスピードを想像してみるのですが、想像しきれません。風みたいでしょうね、ほんとうに。

  • ニャンタのおば
  • 2017/10/19 10:25