パシュー(ト)!

★日本語【格助詞の省略】

 

 


今年の春は、俊足。

さくらが咲いて散って4月になって、
今やずいぶん昔のことに思われる――
2月22日の新聞。
 

 


「女子追い抜き 金」

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当時は、冬季オリンピックのニュースが紙面を席捲しておりました。
いくらスポーツにうとくても、これが五輪の記事であることはわかる。
わかるけれども、はてな?

 


女子を追い抜いて、金?

誰が?



しかし、それにしては、

添えられた写真の女性たちがいかにもうれしそうである。

誰かに追い抜かれたようには見えぬ。
まるで、自分たちが金メダルを取ったようではあるまいか。

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あ、取ったんですな。

「まるで取ったよう」じゃなくて、
彼女たち、金メダルを取ったんですな。

となると、

「女子追い抜き 金」という見出しの意味するところは――、

女子が追い抜いて、金

ということに相違あるまい。

となると、次なる疑問がわいてくる。

誰を追い抜いたの?

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あきらめて、本文を読みました。

 

正解は――、

「女子追い抜き」という競技で、女子が金メダルを取った。

でした。

やれやれ。

 

たいへん遅ればせながら、

オメデトウゴザイマシタ!

 

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※なぜこんなトンチンカンが起きたかについての考察(↓)につづきます。

 春のお菓子と猫のオマケ写真があります。  

***

【格助詞の省略】についてのお話

 

話は簡単。

トンチンカンの最大の原因は、

私が、「追い抜き」という氷上の競技があることを知らなかった!

ひとえにそれに尽きるわけですけれども、

もうちょっと重箱の隅をつついてみると、日本語の癖が見えてきます。

 

文の中で、名詞がほかの語に対してもつ関係を「格」といいます。

言語によって、その表し方はさまざまです。

イタリア語やロシア語のように、語形変化をさせてみたり、

中国語のように、もっぱら語順によってみたり、

英語のように、語形・語順・前置詞を総動員してみたり、

いろいろです。

 

で、日本語の場合は、お隣りの韓国語もそうですけれども、

「格助詞」というものを名詞のうしろにくっつけて、格を表します。

 

ですから、格助詞は文意を取るうえで、とてもたいせつなものです。

省略するなんてケシカランことであります。

 

たとえば、つぎの諸例の赤字が格助詞なのですけれども、

親しい人を相手に、ざっくばらんな口調で早口に話したとしても、

省略することは、まずできないはずです。

 

  ・こちらの首輪などは、お客さまぴったりですわ。

  ・あの三毛は、向こうから勝手に押しかけて来たんですよ。

  ・彼女暮らし始めたのは、正真正銘、「なりゆき」です。

  ・お嬢さん、どこかそのへん、ちゅ〜るでもどうですか?

  ・猫集会は始まってんのよ! いつまで寝てるつもり?

 

ところが、「が」と「を」は、違います。

どしどし省略されます。

 

  ・猫ネコ委員会から、呼び出し状来てますよ。

  ・この首輪、あなたにさしあげます。

 

「が」は主格、「を」は対象格を表すことが多い格助詞です。

文の骨格の、まさに中心的な格です。

それなのに、というか、それだからこそ、省略されやすいのでしょう。

 

 

で、私がつまずいた新聞の見出しですが、

「女子〇追い抜き」の真ん中に助詞が省略されていると感じて、

まっさきに「を」と「が」を補ってみたわけです。

 

まさか「女子追い抜き」という競技名(=名詞)があったとは、

想像もしないことでした。

 

また、それと前後して、知ったことですが、

この競技は「パシュート」と呼ばれることもあるのですね。

それが英語の pursuit だとわかるまでに、やはり数秒を要しました。

だったら「追いかけ」のほうがいいんじゃないの?とも思いました。

 

でも、追いかけてるだけじゃ勝負になりませんわね。

抜かないとね。

 

**

 

日々是勉強。

私にはやっぱり新聞が必要だなあと思いました。

テレビもほとんど見ないし、人まじわりも少ないとなれば、

自分から取りに行く情報だけでは、どうしても偏りがちになります。

まるで興味のない分野のことも、鼻先に突きつけてくれる新聞は、

まだまだ、私にとってはたいせつな情報源です。

(猫が乗る場所としても、貴重ですし。)

 

 



おばちゃん、せけんに おいていかれるにゃ。

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こうきしんは たいせつですにょ。

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うむ。
ちょっと反省した。

 

いろいろ世間に置いて行かれてるよね。

この桜餅も、桜が散り果てたころにやっとだもんね。

 

 

 

今年は春に追い抜かれっぱなし。

 

コメント

冬のオリンピックで,女子パシュートを
興奮してテレビ観戦しましたが,その競技の名前を
日本語で『追い抜き』や『追撃』だということを
今まで知らずに・・・というか,パシュートという
言葉を,日本語にするとどうなるんだろうと
考えてもみませんでした!
「女子〇追い抜き」の真ん中に助詞が省略されていると感じ
・・・ることもなく,やはりおばさまの目のつけどころは
違います(^^)
お薄と桜餅♪お目めを細〜くしたウリちゃま,可愛い(▽≦)

  • ж∫цж
  • 2018/04/09 20:59

ア!朝日新聞も「追い抜き」なんですね。
当方、毎日新聞なので、昔(?)は「追い抜き」といったけれど
今やTVはすべて「パシュート」だし、世間でももう「パシュート」の方が
通じやすいのに毎日新聞は何をこだわって呼び方を変えないんだろう?と
思っておりました。新聞社の協定なのでしょうか?
「女子の追い抜き」としたらもう少し解りやすいかしら?(ダメか)
この桜餅は道明寺ですね♪
関東の桜餅は柏餅のようにアンコを挟んでありますよね。
どちらも美味しい。ウリちゃん甘党?(^−^)


◇ж∫цжさん◇
あ、いや、ちゃんとテレビで(あるいはラジオでも)音声を耳にしていれば、こんなトンチンカンは起こさなかったと思います。ひとえに知らなかったゆえの勘違い。「追撃」ともいうんですか。そのほうが迫力ありそうですな。/ウリはお茶の香りに反応しておりました。桜餅のほうは、無視。

◇きなこ姫さん◇
そうです! 「女子の追い抜き」と書いてあれば、少なくとも「追い抜き」は名詞だとわかりますから、その点で誤解の余地はなかったはずです。そして、そうですか、新聞ではパッと見て意味の通じやすいように、漢字仮名まじりになる単語を選んでいるのかもしれませんね。/東西の中間に位置する高山では、桜餅は断然道明寺なのです。東京に来て、薄っぺらな皮にくるまれたこしあんの物体を見たときは、何やこれ!と絶望しましたわ。おいしくないわけではないんですけど、うーん、やっぱり道明寺がいい!/ウリはお魚党です。

  • ニャンタのおば
  • 2018/04/10 09:23

おお、これが拙ブログにコメントを残していただいたときに
おっしゃっていた違和感!
なるほど格助詞の省略による違和感だったんですね。

この格助詞を省略したときにそれを文字にうつすのがまた、
いささかもんもんとします。
読点を打ちたくなって、いやいや、しつこい感じになりゃしない?
読点を打たないなら漢字が続かないようにしたほうがよくない?
なんとしてもそこに空白を置きたい、と思うその気持ちは、
省略を表したい願望なんだなと再認識いたしました。
『桐島、部活やめるってよ』という作品タイトルを見たときは、
なんだか痛快だったです。


英語の pursuit だとわかるまでに、おばさまはたったの数秒。
わたくし、2、3日を要しました。なんてこった。


◇こてちさん◇
省略のほかに、「無助詞」というのもあります。以前こちらにご紹介しました。⇒http://nekonanihongo.jugem.jp/?eid=522(あ、こてちさんもコメントをお寄せくださってますね。)今気づいたんですが、「桐島、」の件は、「やめるんだって?」だったら、呼格(=呼びかけ)になりますね。だけどここは「ってよ。」だから、伝聞情報を他者に伝えることになり、さすれば「桐島」は主格であろう、と遡行して判断できるわけですね。すごいことをやってるもんだなあ、と思います。/数秒で済んだのは、「追い抜き」を先に見ていたからだと思われます。パッとしたシュート?って思っちゃったのはナイショです。

  • ニャンタのおば
  • 2018/04/10 14:21