あら? あれ?

★日本語【2つの条件形「〜ば」】

 


月初めの連休のあいだに、
薪ストーブの火道具を、
きれいに洗って、拭いて、
きっちり、片づけました。

 

 

きっちりと、ね。


そうしたら、
ありがちなことなれど、
その数日後、気温が急降下!


で、炭火でもおこそうかね、と
階段下の物入れを開けたら......、


ま、これもありがちな現象。

P5030003.JPG

そりゃ、入りますよね。

猫ですもんね。




すきあらば、入る!




たのしいらしい。

P5030002.JPG




わくわくらしい。

P5030001.JPG


律儀な猫。

 



 

にほんブログ村 外国語ブログ(日本語)へ


※「すきあらば、」の「〜ば」について(↓)。
※用例を1組追加しました。(5/21お昼)

***

【2つの条件形「〜ば」】の解説

 

「隙(すき)あらば、…」という文のパターンはよく使われます。

 

  ・猫は、隙あらば箱に入ろうと狙ってる。

  ・Sさんは、隙あらばサボりたがる。


 

同じような場面で使われる表現に、

もうひとつ、「暇さえあれば、…」というのもありますね。

 

  ・まったくもう! 暇さえあれば寝てるんだから!

 

 

ここに使われている「あら+ば」と「あれ+ば」、

動詞「ある」の活用形が、違っています。

 

「あら」は未然形、「あれ」は已然形というものです。

同じ「〜ば」に続いて条件節を作りますが、

「未然形+ば」は、仮定条件を、

「已然形+ば」は、確定条件を、表します。

 

ところが、現代日本語では、

「未然形+ば」の形は、すたれてしまい、

仮定の話だろうが確定の話だろうが、

条件節を作るときの活用形が、

「已然形+ば」に一本化されてしまいました。

 

形が1つになってしまうと、

意味の識別もしにくくなるのは当然のこと。

 

現代語をしゃべる日本人は、

よほど語感の鋭い人でないと、

仮定条件と確定条件の違いを認識できません。

 

英語その他の外国語学習の際、

仮定法過去だとか仮定法過去完了だとか、

イマイチ腑に落ちない人は多いのではないでしょうか。

 

現代日本語から「未然形+ば」が消えてしまったことにも

その一因があるのではないかと、わたくし思います。

 

 

でも、古いほうの「未然形+ば」も、一部残っています。

「隙あらば」もそうですが、格言や決まり文句などの、

固定化した言い回しには2つの違いが残っているのです。

いくつかペアにしてご紹介します。

 

ご自分が、仮定と確定の違いを感じ取れるかどうか、

チェックなさってみてください。


 

(仮)Sさんは、隙あらばサボりたがる。

(確)もう! 暇さえあれば寝てるんだから!

 

(仮)寄らば大樹の陰。

(確)三人寄れば姦(かしま)しい。

 

(仮)海ゆかば水漬(みづ)く屍(かばね)。

(確)旅ゆけば駿河(するが)の国に茶の香り。

 

(仮)箱に入るのは、言わば猫の義務だね。

(確)そう言えばウリ猫はどこ?

 

(仮)待つとし聞かば今帰り来(こ)む。

(確)聞けば魚屋のタマが帰って来たそうですな。


 

時代劇のセリフにありそうな例も、追加。

 

(仮)ならばおぬしが行くか?

(確)なればこそ、ここはお控えくだされ!

 

 

そのほか、ペアでは見つけられなかったのですが、

下記のような「未然形+ば」も、まだまだ健在です。

 

(仮)毒を食らわば皿まで。

 

(仮)死なばもろとも。

 

 

あら、何だか物騒な例になってしまいました。

これ以上変なことを言い出さないうちに、

 

 

さらばっ!

 

P5030004.JPG

 

探検終了!

 

 

ちなみに、

「されば」は確定条件よ。

 

にほんブログ村 日本語(外国語)へ  人気ブログランキングへ

 

 

コメント

已然形という言葉すら、初めて聞いた気がします。
こういうお話(説明)は大好物です。
一度の通読ではわからず、二度三度と読み重ねて、
あー、なるほどなるほど、と
地平線がぱぁーっとひらけたような、
頭の中のあることすら知らなかったドアが開け放たれたような
爽快な気分になって、
あとで自ら説明しようとするとしどろもどろになる、
っていう、こういうの好物です。
だめな生徒ですみません。


おそるおそるうかがいますが、
「冬来たりなば、春遠からじ」も仮定条件でいいんでしょうか?

春が来ても、初夏が近づいても、
急に寒くなることがあるから困るわよねぇ、ウリさん?

東風吹かば と 東風吹けば で
印象はずいぶん違いますね。
こちら地方もストーブ仕舞いの
タイミングが難しかったです。
でも、仕舞っちゃえばあとは思い込みで何とか…。
夏、今はもう夏、夏ったら夏っ!

  • 藏ゆ
  • 2018/05/21 14:57

中学だか高校の古文の時間に
習ったような気がします
・・・未然形と已然形。

英語圏のドラマをみていると
I would./I could./You shouldn't.
などと相づちを打つだけで会話がどんどん
進行していくことが結構あって
テストでこれを完全な一文にしなさいって出たら・・・とよく思ってしまうのですが、
そう、確かに苦手です、仮定型。

1枚目のお写真、
ウリちゃまのお顔のうれしそうなこと。
可愛いにょ(^w^)

  • まちゃ
  • 2018/05/21 20:42

最初のウリちゃまの表情が・・・
あ!開いた・・・カメラまで(ーー)って,一瞬
固まってる感じが,ほんっと可愛いです♪
毎回,解説を読ませていただいてなるほど☆と
普段の生活だけでは知る機会のない
母国語の確認が出来るのは幸せです(^^)
ありがとうございます。

  • ж∫цж
  • 2018/05/22 09:33

ねこだもの。

  • ねんねこ商会
  • 2018/05/23 09:47

◇こてちさん◇
いぜんけい、古文の時間で習いませんでしたか? 「すでに然り」の形なんですよね。未然は「いまだ然らず」。だから否定や仮定条件につづくのは未然形。ちゃんと意味に呼応した命名だったんだなあと、私も日本語教師になってから納得しました。/「頭の中のあることすら知らなかったドアが開け放たれたよう」とは、何ともうれしいおことばです。そう言っていただくと、勇気百倍です。/はい、「冬来たりなば、春遠からじ」も仮定条件です。〔「来たる」の連用形+完了の助動詞「ぬ」の未然形+「ば」〕です。寒い冬が来るというのなら、春だって必ずそのうち来るさ、ということですね。

◇藏ゆさん◇
印象が違うというか、その後に「におい寄こしてね」と梅に呼びかけるのであれば、やはりここは「もし吹いたらそのときには」という仮定条件でないと、意味が通りませんよね。/思い込みだけではカバーしきれない冷え込みがありましたけれど、遠野盆地の夏(春じゃなくて?)は、本格始動してくれましたか?

◇まちゃさん◇
たしかに習いましたよね。あんなものが何の役に立つんだろうと思っていましたが、若い脳みそに叩き込まれた名文美文というのは、けっこうその後の人生を豊かにしてくれているなあ、と今ごろになって気づきます。/暗くて狭いとこに入ってる猫の目は、ええ、とにかくかわいいにょ♪

◇ж∫цжさん◇
カメラがついてこなければ、幸せ百パーセントだったでしょうね。ごめんよ、ウリ。/母語だからこそ気づきにくいこうしたネタ、喜んでいただけると書いた甲斐があります。ありがとうございます。

◇ねんねこ商会さん◇
「ねこだもの」で済めば警察は要らん!と、日に何度か叫ぶ飼い主です。まったく、勝手にかわいことしおって。

  • ニャンタのおば
  • 2018/05/24 10:57