載ったら乗らない。

★日本語【同訓異字】

 

 

 

 

 

にゃんと!

『日本語びいき』が、

朝日新聞の書評欄に載りました!

 

 

花

東直子が薦める文庫この新刊!

(2018年9月15日付け朝刊)

 

 

 

 

 

全国紙に取り上げられたのは初めてです。

うれしくてうれしくて、

猫を乗せて記念撮影。

 

P9150013.JPG

 

 

何なんですかね、この仏頂面。

「乗るな」と言えば乗るくせに、

「乗って」と頼むと、乗らない。

 

 

P9150018.JPG

 

歌人の東直子さんが

取り上げてくださいました。

ことばの「遣い手」が

お目を留めてくださった。

そのことが、とてもうれしい。

 

 

私が言いたかったことのひとつ――

自分たちが使っているこの日本語に、

タダシイとかマチガッテルとか

そういう線を引くのはやめにしたい、

――ということ、

それを正確にすくい上げてくださいました。

 

 

ネットでも読めます。

 

東直子が薦める文庫この新刊!

 

 

 


 

 

ちなみに、

これはできたてほやほやの『日本語びいき』が

わが家に届いた日の写真。

 

P8130011.JPG

 

広げたとたんに、乗りました。

迷わず、乗ってきました。

さすが、猫ですね。

 

 

ええい、じゃまじゃま!と、

ぐいぐい机の隅に寄せてやったら、

妙なかっこうで固まったので、

赤ペン乗せてみたの図。

 

P8130025.JPG

 

 

乗られたら、乗せ返す!

 

にほんブログ村 外国語ブログ(日本語)へ

 



 

※お久しぶりねの日本語バナシは、

「乗る/載る」などの同訓異字についてです。

つづきを読む(↓)から、どうぞ。

 

 

※業務連絡

朝日新聞の書評の威力はすごいらしく、

ただいま、主なネット書店では

『日本語びいき』の在庫がゼロになっています。

 

でも、全国の書店さんに在庫はあるはずで、

今はそれが返品されたり取り寄せられたりで、

流通過程を動いている状態なのだそうです。

そのため、増刷されるかどうかは、微妙です。

 

今から買ってやろうとお思いの方は、

願わくは、リアル書店さんでお探しください。

もしその本屋さんにない場合は、

取り寄せを依頼なさってください。

どうかよろしくお願いいたします!

 

また、電子版も近いうちに出される予定です。

発売が決まりましたら、お知らせします。

***

 

同訓異字のこと】

 

読み(=訓)は同じなのに、

異なる2つ(以上)の漢字で表記される語です。

あるいは、

漢字は違うのに同じ読みをもつもの、ともいえます。

 

ただし、意味がなんとな〜く近い場合の話です。

たとえば、

 

  帰る と 

 

こういうのは同訓異字とはいいません。

たしかに「かえる」という同じ読みをもちますが、

どう考えても、意味の上の関連はありませんし、

アクセントも違いますから、まったくの別語です。

 

 

いっぽう、

 

  帰る と 返る

 

これは、同訓異字です。

きょうの記事の

「新聞に(書評が)載る」と、

「新聞(紙)に猫が乗る」の、

2つの「のる」も、同訓異字です。

 

 

で、きょうの本題は、なぜこんなことが起きるかというお話。

ここで思い出していただきたいのですが、

漢字というのは、本来、外国の文字です。

中国語という、外国語の文字です。

 

 

それを日本人が(というか日本語が)勝手に借りてきて、

自分たちの言語を書き表すのに使っているわけです。

 

 

中国語の発音と、日本語の発音は、まったく違います。

ただただ意味が近いとおぼしき文字を借りてきて、

それを日本語読み(=訓)で読んだわけです。

 

 

それって、かなりスゴイことです。

突拍子もない発想です。

 

 

あまりにも漢字が日本語のものになりきっている現在、

その無茶ぶりは意識されにくくなっていますが、

たとえば、ですよ、

今もしも英語の文字を借りて同じことをするとしたら、

こうなるわけです。

 

 

 「cuteい猫」と書いて「かわいいねこ」と読ませ、

 「beautifulしい猫」と書いて「うつくしいねこ」と読ませる。

 

 

ね。

すばらしい力技、というか、もう、強引でしょう?

むかしの日本人、すごすぎます。

 

 

もちろん表意文字である漢字と、

音しか表さないアルファベットの違いは大きいですが、

ここでは「外国語の文字を勝手に使ってる」という事態を

意識していただくための例として、でっち上げました。

 

**

 

で、同訓異字は、どうして発生したかといいますと、

日本語のその単語の意味の守備範囲が、

中国語のその単語(=漢字)のそれより広かったから、です。

 

 

逆にいえば、

中国語のほうが、意味区分が細かかったから、です。

 

 

日本語では、「のる」という語を使って、

自転車にもタクシーにも飛行機にも「のる」し、

リズムにも「のる」し、

相談にも「のる」し、

もうけ話にも「のる」し、

猫が新聞紙に「のる」のも自由です。

そして、

事件を起こして新聞に「のる」こともあるわけです。

 

 

だけれど、中国語では

新聞紙に「乗る」のと、新聞に「載る」のは分ける、と。

 

 

さっきの英語の例に戻っていうとすれば、

 

 cuteい と lovelyい

 

の両方を、「かわいい」と読ませる感じです。

「cuteい」も「lovelyい」も、ルビは「かわいい」、と。

いやはや。

つくづく、漢字仮名まじり文の発明は、すごいです。

 

 

***

 

 

この同訓異字については、以前も書いたはず。

そう思って過去記事をさがしたら、

「ドライとります。」という記事が見つかりました。

数年前、NHKで方言指導のおしごとをいただいたときに、

ドラマの撮影現場で拾った表現です。

 

本人が言うのもナンですけれども、

ギョーカイ用語の話も含め、

今読んでも、かな〜り、おもしろいです。

未読の方がいらっしゃいましたら、ぜひ!

☆ロケ現場で拾った日本語、「とります。」

 

 

それから、中国語という外国語を書くための文字を、

自分たちの日本語を書くときに使ってるすごさ、

そのことに対する感動も、すでに書いていました。

過去の自分、なかなかえらいです。

これまた、まずまずおもしろいと思うので、ご紹介。

☆「夜露死苦」は万葉仮名!

 

うーん、
やっぱり私は日本語が好き♪

 

コメント

うれしい!うれしい!! うれしい!!!
外野でも めちゃんこうれしい!
朝日新聞でないのが残念です。
普段 何も考えずつかっている日本語 柔軟でおもしろい。
決めつけないで日本語という生き物を楽しんでいるおばさまはいいなぁ。
固くなった頭をほぐそう。
文庫本というサイズが手に取りやすくていい。
ヨシタケシンスケさんによるウリちゃんの寝姿がいい。
たくさんの方々が手に取ってくださってるのがうれしい。(外野でも)
若い世代が発信する日本語 格調高い日本語 日本語っていいな。

上目づかいのウリちゃんが かわいい。

  • きゃろりん
  • 2018/09/25 08:44


◇きゃろりんさん◇
わあ、そんなにぴょんぴょん喜んでくださって、うれしさがさらに倍になりました。ありがとうございます! 「決めつけないで日本語という生き物を楽しんでいる」という評価も、言いたかったことそのままを的確に表現していただいた気がします。何なら本の帯に使わせていただきたいぐらいです。/上目づかいのウリすけは、「とんとんする? ねえ、お尻とんとんする?」の顔です。ジャマったらありゃしません。

  • ニャンタのおば
  • 2018/09/25 11:20

いやはや、今日の記事はおもしろさの盛りだくさんが過ぎて、
どうしたらいいのやら。
帰ると蛙、cuteいもlovelyいもかわいい猫!!!
もうポイントがおもしろすぎて、全体が把握できませんです。
一本一本の木がおもしろすぎて、森が全然見えない状態。
昔の日本人の突拍子のなさに感動します。

全然無関係に、昔中国で、いや、香港だったかな……、
『手袋』という看板を見て、そのまま手袋を想像したら、
売られているのがハンドバッグだったとき、
そのオチに感動したことまで思い出してしまって
さらに混沌はその度合を増すという、コマッタ記事であります。

あとで森を見るべく、過去記事とともに何度か読み返すこととして、
重版出来に期待大です。わくわくしますね!
電子版の書評も拝見しました。すごいすごい!

ウリさん、飼い主さんの作品が載った全国紙の上に
そうやって乗れる猫はそうそういない!
このしあわせものめ〜〜〜♪

出来立てほやほやのご本に迷わず乗るウリちゃまも
赤ペンを載せられたウリちゃまも,とっても可愛いお顔 (^^)
わぁ〜ご本のヒット嬉しいぃ〜〜ヾ(´▽`)ノ

  • ж∫цж
  • 2018/09/26 13:12


◇こてちさん◇
おお、こてちさんにそんなにおもしろがっていただけると、日本語バナシ、がんばろうという気になります。日本語の森にはおもしろい木や草がわっさわさ生えているもんですから、夢中になると、案内人も道に迷ってしまって、ご案内がトンチンカンになりがちですの。/「手袋」、ワハハ!ですね。知りませんでした。「愛人」とか「手紙」は、中国人留学生が喜んで教えてくれる例です。/全国紙の書評は初めてで、ウキウキしちゃうんですが、このタイミングで品切れ...... とほほです。

◇ж∫цжさん◇
乗るなっていうと乗りますよね。これはもう、ブレないお約束です。「ヒット」なんてことばを使うと業界からは失笑を買いそうですが、はい、わたくしの中では大ヒットです。ありがとうございます。

  • ニャンタのおば
  • 2018/09/27 10:39