友達がいないからです。




ウリは「ひとり」が好き。

P8120008.JPG




それにしては
いつもじゃまくさいとこにいるけど、
かまってほしがるわけではない。
 

P8120010.JPG




きれいな目をして、
何を見てるのかな。
何を考えてるのかな。
 

P8120015.JPG

 



花
 

夏休み恒例シリーズ


留学生は見た!

今季最終回は、

 

タイのNBさんです。
 

今まで日本人から言われて、いやだなって感じることがないと思います。なぜなら、日本人の友達が一人もいないからです。それに、私もあまり人と話さないし、授業が終わった後、ずっとへやにいて宿題をやったり、音楽を聞いたりします。毎日そんなことをくりかえして、つまらないと思いますがしかたないです。たまに、外を出かけて、ライブ見ます。ライブの前で同じことを言われて(私だけじゃない)ウンザリすることもありますが、それは「前の方へおすすみください」ということばです。ライブのかいじょうにいるみんなきっと何回もライブ見たことがあります。それなのに、みんなはそのことばをあまりしたがわないで、隣の人と話しているばかりです。ウンザリです。
 
 
NBさんのこの文章を読んで、
日本人読者のみなさまは
どんな印象を持たれたでしょうか。


NBさんは、ほんとうに静かな人でした。
感情をおもてに出すことがなく、
授業を楽しんでくれているのかどうか
見た目ではわからなくて、
いや、むしろ居心地悪そうにも見えて、
教師の私は不安になるほどでした。


でも、
今改めて学期中の記録を見ると、
ただの一度も欠席はしていません。
クイズやテストは毎回ほぼ満点。


勝手な解釈だけれど、
クラスにいることが
少なくとも苦痛ではなかったらしい、
と思いたいです。


**


読解のこのクラスでは、最後の回に
ビブリオバトル(=書評合戦)をやりました。
クラスメイトに読ませたいと思う本を
みんなが1冊ずつ持ってきて、
5分で紹介、3分間質問応答、というもの。


日本語で書いてある本なら何でもいい、
ラノベでも漫画でも翻訳本でもいい、
と言ったところ、
NBさんが選んできたのは
STUPPY(辰巳出版)という雑誌でした。
ビジュアル系バンドの専門誌でした。


日ごろ自主発言のほとんどないNBさんが、
5分間静かに、熱心に、話し続けていました。
そして質疑応答タイムに移ると、
グループのメンバーがこれまた熱心に
あれこれ質問していました。


それはとてもいい情景でした。
紹介する方も質問する方も、
ほんとうに紹介したいから語り
ほんとうに知りたいから質問している。
すごく「まっすぐ」だったのです。


***


私は日本の社会で生きてきて、
誰かがとんがった何かについて語り始めると
周囲がそれを揶揄する場面を
何回も見てきました。
アア、マア、
ウン、ソウイウノモアリカモネ、
ナ〜ンチャッテ、ハハハ......


もっと悪いのは、
マナーとして興味があるふりをする場面。
ヘー、ソーナンダ、
フーン、スゴイネー、
トコロデサ......


****


美化しすぎているかもしれないけれど、
留学生たちのクラスはとても大人です。
ほんとうの意味で、大人です。
変わった人がいればすぐイジルといった、
そういう「小さな意地悪」がない。
そんな気がします。


だって、みんな違ってるから。
みんなちょっとずつ変わった人だから。



最後の期末試験のあと、
クラスの元気者が提案して
みんなで記念写真を撮りました。
いち早く退室したNBさんも
みんなが終わるまで残っていて、
ちゃんと写真に入ってくれました。

 
ああ、お見せしたい。
とてもすてきな写真です。


ほかの人たちが満開の笑顔だとすれば、
NBさんは柔らかなつぼみだけれど、
まっすぐカメラを見つめています。


自分の好きなものがしっかりわかっている。
一人でいることをこわがったりしない。
行きたいライブがあれば、行く。
人と話すのが好きじゃなくても
学びたいもののためには留学までする。
――そんなNBさんがいたクラス。


そしてそんなNBさんと
フラットにおしゃべりを楽しむ
クラスメイトがいたクラス。


私はなんてすてきな場所にいたのだろう。
今さらながら気づきました。


ありがとう。

 
*****


ごった返すライブ会場で
静かな顔をしたNBさんが
お団子状態の人々をスッと抜けて
最前列に進むようすを想像しています。
 


にほんブログ村 外国語ブログ(日本語)へ


「留学生は見た!」シリーズ、
2019年春学期の巻はこれにて終了。
おつきあいくださって、
ありがとうございました!
コメント

NBさんの文章とおばさまの文章の
両方を読ませていただいて,何て言うか…
どちらもストレートな気持ちが伝わって
素敵だなぁと思いました。
部屋で勉強をしたり,行きたいライブ会場に
足を運ぶNBさんのストレートなところは
爽快感があります。

  • ж∫цж
  • 2019/09/20 09:59

なんでかわかりませんが、読み進めていくうちに
何だか涙が出ました。
同調を強要する日本社会にあって、こんなにうつくしい佇みの人が
日本に留学までしてくれているなんて。
NBさんと友だちになれる日本人が、現れてくれないかなぁ。

  • 藏ゆ
  • 2019/09/20 10:57

何だかとてもいい気持ち、いい気分です。これは何だろう・・・?
NBさんもすてき、クラスメイトもすてき、先生!もすてき。
ありがとうございました。

ウリちゃんは、好きな人の傍にいたいのですネ(^−^)

NBさん すてきなエネルギーを持った方だと感じました。
私は好きです。
日本では 蔵ゆさんのおっしゃるように「同調の強要」が根強いです。
無理して合わせることより 自分に正直でいるってすてきなこと。
大声で主張しなくても ちゃんとキャッチしてくれる先生がいて 大人なクラスメイトがいる。
いい空間が存在したのですね。
NBさん また来てくださいね。

  • きゃろりん
  • 2019/09/21 08:10


◇ж∫цжさん◇
「爽快」! ああ、まさに、まさにその単語がぴったりです。静ぅかに、スカッとさわやか。私の3分の1ほどしか生きていないNBさんの爽快さに、あこがれさえ感じました。

◇藏ゆさん◇
日本社会の同調圧力の高さについては、やっと近年、光が当てられたように思います。私はわりとうまくこの社会を泳いできたつもりでしたが、それでも小さいころから「もっと友だちを作りなさい」「もっと友だちと遊べるようになりなさい」と通信簿に書かれ続け、かすかな苛立ちと息苦しさを感じてきました。今この年になってようやく「お団子から抜ける」ことが少しはできるようになってきました。それでもまだまだできなくて鬱屈することが多いのに、NBさんがこの若さできちんと自分を保っていることに、ほとんど感動してしまいました。

◇きなこ姫さん◇
藏ゆさんへのお返事↑に書いたような私です。先生までおほめにあずかって、くすぐったい。/ウリはそばに来て1分ほど「かまえ、かまえ」攻撃をしたあとは、わりと静かに「いるだけ」猫になって寄り添ってくれます。いい猫です。

◇きゃろりんさん◇
藏ゆさんへのお返事↑に書いたような人生を歩んできたわたくし、電車の中などで「お団子」の端っこで無理な笑顔を作り「だよねー」「そうそうそう」などと(誰にも聞いてもらえない)あいづちを打っている子を見ると、苦しくなります。好きでもないお団子になんか入らなくていい! 一人でいていいんだよ!と言ってあげたい。

  • ニャンタのおば
  • 2019/09/21 10:20

〇 NBさんのは、日本人のまずい習性をしっかり観察していたのですね…
 ライブ会場で、前に進まず、みんな立ち止まってベチャクチャしちゃうのは、集団だからやれることで、数人だったら係員に従うのだと思います。
 20年前、大阪環状線の朝のラッシュ時のこと。マイクで「降りる方降り切ってからご乗車ください!」とホームで何回も放送していました。
 でも、みんなわれ先に乗ってしまう。結果、車内が大混乱…、そして発車が遅れる…
 この光景をNBさんが見ていたら、ライブと同じ感想を持ったかもしれません。
 私自身も、山手線では全く見られない光景にビックリ、「違う国に来たのだ」認識したものでした。
 ひとり一人は善良でも、集団になると変貌する…
 日本人の戦前から引きづる習性なのかもしれませんね。
       - - - - - -
 最近のスマホは、置くだけで充電できるらしい…
 ウリちゃんも、辞書を枕にして日本語を吸収しているのです。
     <ののちゃんより>


◇kitcatさん◇
私はこれが日本人だけの習性なのかどうか、世界を回ったことがないのでわかりませんし、20年前の大阪と東京がそれだけ違ったのでしたら、ここで「日本人」とひとくくりにすることにはやはり問題があると思いますけれど、とにかく個を保ちにくい集団は「まずい」ですよね。/私も辞書を枕にしてみます。

  • ニャンタのおば
  • 2019/09/23 08:35

こんにちは、はじめまして。
私は日本語力絶賛低下中の
パリ在住猫好きおばです。

私にとって、
趣味(猫)と実益(日本語)を兼ねた
ニャンタのおば様ブログを、
楽しく読んできました。

今回のNBさんで涙が出てしまったので、
遂にコメント。

みんな違ってていいんだよ。
みんなちょっとずつ変わった人でもいいんだよ。
って、
若き日の自分に言ってあげたいです。
30年も経った今は、
みんなと違って何が悪い?
と太々しく行きておりますが…。

NBさんが強いのか太々しいのか分かりませんけど、
彼(彼女)を自然に受け止めるクラスの空気、
いいですねー。

◇pcommeparisさん◇
初めまして。ようこそコメント欄にお越しくださいました。なんとパリにお住まいですか。しかも(ここ大事)、猫さんといっしょ♪/NBさんの生き方、それなりにつらいことや難しい場面もあるのでしょうが、上っ面をなでるように「うまく」生きてきた自分を振り返るとき、恥ずかしいような、そしてうらやましいような気持ちになります。私も子ども時代の自分に言ってあげたいです。ひとりを恐れるな!/ブログ、覗かせていただきました。おいしそうで、たのしそうです。そして知らなかったこともいっぱい。ご縁をいただけて、うれしいです。

  • ニャンタのおば
  • 2019/09/25 12:07

私の拙いブログにまでコメントして下さって、嬉しいです。
しかししょっぱなから↑誤字!!!お恥ずかしい。
私も国語辞典を枕にします。

  • pcommeparis
  • 2019/09/25 17:31