演説


ほとんど24時間、わが家の庭まわりにいてくれるグリコですが、
ときおり外の路地に出て、ぼんやりしていることがあります。
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たそがれどき、こんなふうにアスファルトの上でぽつんとしているグリコを見ると、
なんと小さな生き物であろうか、なんと心細い存在であろうか、と思います。


家の中のウリを見ていても、ふと、同じような感懐にとらわれることがあります。
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何を見ているのだろう。
何を考えているのだろう。
すっかり私たちを信頼して、いっしょに住んでくれているけれど、
私たちは、この生き物の命に、ほんとうに「責任」をもてるのだろうか。
いや、そもそも責任をもてるなんて思うことが、思い上がりではないのだろうか。


生き物としての人類が、今また途方もない間違いを積み重ねようとしています。
とうてい責任など取れはしない行為を、繰り返そうとしています。
そんなことをしてはいけないと、誰もがきっと本能ではわかっている、
わかっているはずだ、と思うのに、動き出した間違いは、止まりません。


金曜夜の首相官邸前に出かけていく、
たったそれだけの行動も起こせない怠け者も、
今の日本の進路に、気持ちだけは、ヤキヤキと、いやな焦りをおぼえます。

そんな私に、古い友人が、武藤類子さんの演説を読ませてくれました。
7月16日、東京代々木公園で開かれた、
「さようなら原発10万人集会」での武藤類子さんの演説です。

報道で紹介されるのは、坂本龍一さんや大江健三郎さんです。
それも、たいていは、発言のごく一部だけです。
武藤さんて誰?と思われる方のほうが多いことでしょう。

演説という、やや古めかしい呼び名をもちだしましたが、
それは、自分の信じるところを、できるだけ大勢の人に、
できるだけ正確に、そして誠実に、伝えよう、伝えるのだ!
という一人の女性の気迫にあふれたもので、
だからまさに、演説と呼ぶべきものだと思いました。

武藤類子さんの演説です。
どうかお読みください。

==引用開始==

熱い日差しの中を「さよなら原発10万人集会」につながる皆さん。
本当によく来て下さいました。主催者でもない私がこんなことを言うのは

ちょっと変ですが、でも、本当によく来て下さった・・・と思うのです。

3・11からの日々、福島の人々も、もちろんそうですが、
福島原発事故に心を痛め、原発がある社会を憂えた日本中の人々が、

やさしく支え合い、自分にできる何かを・・・と立ち上がり、

数々の行動を起こしてきました。

今日、皆さんにお話ししたいのは、悲しみと困難の中で、それぞれが本当に
「よくやってきたね」と言うことです。

明らかにされていく事実の中で、更にがっかりすることや驚きあきれることも
たくさんありました。
数々の分断は私たちをバラバラにしようとしました。
 
暗闇の中で、翻弄され、傷つき、混乱しながら、それでもつながり続け、

ひとりひとりが最善を尽くして来たと思うのです。

それが、この夏の公園にひろがる色とりどりの花もようです。
 官邸前の熱い金曜日です。
 日本中で展開される福島の子どもたちの保養プロジェクトや健康相談です。
 日本のあちこちに市民の力で建てられた放射能測定所です。
 さまざまな人々が立ち寄っていく経産省前テントです。
 いちはやくマンパワーを送り込んでくださった障がいを持つ人々を支えるネットワークです。 
 被曝の中で行われた数々の除染実験です。
 見知らぬ土地での勇気をふりしぼった新しい生活です。
 福島の女たちの大飯原発弾丸ツアーです。
 1300人以上の市民による集団告訴です。
 電力会社を訴える数々の裁判です。
 政治に訴えるあらゆる取り組みです。
 情報開示や自治体へのたゆまぬ働きかけです。
 インターネットでまたたくまに拡がっていく小さな報道です。

 映画であり、音楽であり、書物です。
 各地で広がるユーモラスな福島の古い盆踊りです。
 今、私たちの上を飛ぶヘリコプターです。

そして、今日、福島県の二本松市というところからてくてくと

歩いてやって来た人がいます。
「灰の行進」の関さんです。
彼は、6月のある日、たった一人で東京に向かって歩き始めました。
かつて、3・11の原発事故が起きる前に二人の若者が、東京から福島までを
歩き通す「ハイロウォーク」を試みようとしたことがありました。

それは、消費地東京から原発現地の福島へ・・・電気を送る道を逆にたどり、

原発なき世界の新しいビジョンを考える行進のはずでした。


しかし、今、電気の道をたどりながら、放射能に汚染された庭の土を背中に

背負って関さんは一歩一歩、歩いて来ました。

明日、東電と経産省に「あなたがたが出したものを返しに来たよ」と

渡しに行くのだそうです。

暑い日も雨の日もてくてく歩くうちに、ひとりふたりと同行者が増え、

今日は、どれくらいの人々とともにこの公園へ歩いて来られたのでしょうか。

わたしたちは、今日ここで、「ほんとうに、よくやってきたね」と自分をほめ、
今、となりにいる人をほめましょう。

そして、深く息を吐き、体をいたわりましょう。

私たちの行動を支えてきた大切な体です。
これ以上、自分自身をすりへらしてはいけません。
明日をかしこく生きるために、ひそかにほほえみをたくわえましょう。

しかし、それでも福島の現状はあまりにも厳しいのです。
4号機、甲状腺検査、再稼働、瓦礫問題、安全保障
廃墟と復興の間(はざま)で、ひっそりと絶たれていく命たち・・・

アメリカのジョアンナ・メイシーという人がかつて言いました。
「絶望こそが希望である」と。
福島原発事故という最悪の事態の中から、私たちはかすかな光をたぐり寄せ、
今、このように青空のもとに集まっています。
声なき声と共にあり、分断のワナにゆめゆめ落ち込むことなく、

かしこくつながりあっていきましょう。
共に歩んでいきましょう。


==引用終わり==


※出典は、『ハイロアクション 福島原発40年の、2012年7月18日の記事です。

 コピーして掲げることは、あるいはマナー違反なのかもしれませんが、

 リンク先をクリックするひと手間のために

 この演説をお読みくださらないかもしれない人があることを惜しみました。


※武藤類子さんは、福島原発告訴団の団長です。

 

※武藤さんのこの演説の動画は、こちらに公開されています。


※文中の「私たちの上を飛ぶヘリコプター」には、説明が必要かもしれません。

 原発再稼動に反対する市民の大規模行動は、金曜夜の官邸前デモもふくめ、

 当初、大手メディアではほとんど報道されませんでした。

 それに業を煮やした人々が、「正しい報道ヘリの会」というものを結成し、

 カンパを集めて、空撮のためのヘリコプターをチャーターしたのです!

 そのヘリが撮った、7月16日の写真は、こちらでご覧になれます。




私は、かすかにでも、この演説のことばにつながっていたいと、思いました。
このような演説の、ことばのもつ力を、信じていたいと、そう思います。
Oくん、武藤さんの演説を教えてくれて、ありがとう。


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※何か、何かできることはないのか、
 と、机の前でお悩みの方に、ご提案。(↓)

* * *

私と同程度にお尻が重めの方は、少なくないものと思います。
人ごみが苦手、という方もいらっしゃるでしょう。
そんな方に、ご提案です。

じつは、政府も国民の意見を聞こうとはしているのです。
じつにコッソリと。
あやうく見つけそこなうところでした。
内閣府が、原子力施策について、パブリック・コメントを募集しているのです!

「エネルギー・環境に関する選択肢」に対する御意見の募集



締め切りは、8月12日、夕方6時です。
上記タイトルをクリックしてくだされば、直接、入力画面にリンクします。

そのほかの送付手段や、この制度の説明については、
以下のサイトがわかりやすいと思います。
国際環境NGOグリーンピースの、こちらのページ
パブコメで未来を変えよう

意見を求められている選択肢は、3つです。
電源に占める原発の依存度を、0パーセントから25パーセントまでの3段階の
どれにしましょうか、という話です。
ただし、2030年までに、という話です。

かなりの個人情報を書き込まなければなりませんが、
さいわいなことに日本は民主主義国家です。
そこを恐れていては、何も言えなくなってしまうと思います。

せっかく意見を述べる機会が目の前にあるのなら、
官邸にも代々木公園にも行かない代わり、
せめて、机の前でできることぐらいはやろうと思いました。

私は、自分の情報収集能力に自信がありません。
かろうじて集めた情報を読み解く能力にも自信がありません。
それでも、もしや、意見を送ることにためらいを覚えている方の
ご参考にはなるかもしれないと思うので、
以下に、私が送った意見のコピーを掲げます。
きっと、論理の破綻やらなにやらがあるかと思います。

恥をしのび、勇をふるって、皆さまの前にさらします。
よろしければご覧ください。



☆・ニャンタのおば=清水由美が送った意見・☆

【意見の概要】
原発ゼロシナリオを支持します。
ただし、今すぐゼロに!!


【意見及びその理由】
1.現実に福島という実り多き国土の一部を失った現在、なおも原発と経済をてんびんにかけられると思う理由が、私にはわかりません。

2.いったん事故が起きた場合に「私が責任を持つ」と言い切る根拠と担保が、放射能半減期の万分の一も生きられないはずの野田首相のどこにあるのか、これも私には理解不能です。

3.明日、日本のどこかの活断層が動かないと、何をもって能天気に信じていられるのか、2030年までは大丈夫などと、どうして安心していられるのか、これまた私にはわかりません。

何を読んでも、何を聞いても、上記3点の疑問は解決されませんでした。ゆえに、即刻、すべての原発を廃炉にすべきだと考えます。むろん、廃炉にしたからといっても、地震が来れば放射能被害は避けられないかもしれません。それでも、少しでも「まし」な選択をしておくべきです。

高齢化が進み少子化が進む中で、なおも経済の「成長」を目指さねばならぬというのであれば、自然エネルギーの開発を推進することにこそ、その活路を見出すよう、国を導いてください。日本の産業界には、その力があるはずです。

そして、日本のみならず、世界を、そして地球に生きるありとあらゆる生き物を巻き添えにしたギャンブルは、今すぐにやめてください。

☆・以上です。・☆

ご賛同いただけるなら、一部でも全部でも、
コピーして国に送ってくださって、かまいません。


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コメント

パブコメ,私もゼロシナリオ支持と書き送りました.
政府の戦略を選択する際の材料になるんだそうですから,ぜひ参考にして欲しいと思います(8月に結論出すそうですし).が,このような制度があっても,期待できる「人間」が行政にいるかどうか,そんなことの方が気になります.それに討論型世論調査自体が,あんまり日本人向きではないような気もします.みんな勉強好きじゃないし,すぐ感情的になるし(感情的にならない方がどうかしているって問題段階なのでなおさらです).
ただ,確かに今後抱えなければならない問題だけではなく,現実に起きちゃっている問題もあるので,急ぐ部分と,だからこそ将来にわたって考える部分が不可欠なのに,この二つが混同されがちです.
パブコメを書く人は今一度何を求められているか,つまりこのパブコメ自体は,原発反対かどうか,今日明日の再稼働に賛成かどうかを問うているのではないことを再確認した方がいいでしょう.ムダな意見は,国民的議論からはずれてしまいます(これまでのものはそういう意見が多すぎる感じです).
ニャンタのおばさまのリンクだといきなり意見を書かされるところに行くので,まずは以下を最初によく読んで(それなりにわかりやすくは書かれています),一呼吸おいてから自分の意見として送るのがよいのかも知れません.
http://www.sentakushi.go.jp/intro/

  • junbee
  • 2012/07/23 05:01


◇junbeeさん
 ありがとうございます。
 やっぱりこんなブログでこんなこと書くと引かれちゃうんかなあ、
 と、ちょっぴりしょげてたところです。
 不親切だとは思いつつ、わかりやすい解説が見つけられなくて、
 いきなり送付用のページにリンクしておりました。
 よいものを教えてくださって、ありがとうございます。
 が、ご紹介のこのサイト、一見したところ「主語」がなくて不安です。
 たどっていくと、内閣官房国家戦略室が作ったと読めるのですが、
 それで正しいでしょうか。
 (この点、ご面倒でも再度コメントをいただけたら、ありがたく!)
 だとすれば、今回のパブリックコメントの、いわば主宰ですから、
 たいへん適切な参考資料ということになりますね。
 締め切りまでにまた何回かしつこく記事にしたいと思います。
 

  • ニャンタのおば
  • 2012/07/23 08:47

◆facebookで「いいね!」を押してくださった方へ
 今、気づきました。
 2っつ、入っている!
 このボタンを設置してから、たぶん、初めてのことだと思います。
 私自身はいっさいのSNSに参加していないのですが、
 こんな形で応援を入れていただけて、
 少しでも読んでくださる方が増えたら、たいへんうれしいです。
 ありがとうございました!

  • ニャンタのおば
  • 2012/07/23 09:07

◆追って、御礼。
 あらためて見ましたら、過去の記事にも、
 何度か「いいね!」を入れていただいておりました。
 えー、とにかく、応援、ありがとうございます!
 自分でコメント欄を騒がせているお間抜けぶり、どうかお許しください。

  • ニャンタのおば
  • 2012/07/23 09:21

国家戦略室の作文ですね(間違いないと思いますよ).一応自分たちもゼロシナリオっていうものを持っているし,最大でも原発依存度は25%くらいが適正と考えているのだという意思表示はしておこう的な雰囲気です.それでもそこは評価したいと思います.
ただ,崖っぷち政権がこけたら,このパブコメに集まった意見はどうなるんだろうなあ?

ところで,このブログは猫好きの人たちがたくさん見に来ていると思います.環境省ではこんなこともしています(http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=15018).私の友人も警戒区域の現場に保護のため入っています.この結果の犬猫比を見て下さい.おそらく分母としての猫が多いことが要因のようですが,増えているのも事実とか.まだまだたくさんの猫が「その場所」にいますし,新たに「その場所」で生まれています.さあ,人ごとではないでしょう? 

  • junbee
  • 2012/07/26 14:18


◇junbeeさん
 ご確認ありがとうございます。
 やー、また私の悪い癖が出てしまいました。
 自分で紹介しようというからには、自分で責任を持って調べればいいだけのことなのに、ついつい自分よりワケのわかっていそうな方に確認を求めてしまうんです。お恥ずかしい。
 ま、あれです。パブコメが宙に浮いたりなんかする事態になったとしても、意見が集まった、という事実だけは消えないと信じて、書くしかないです。

 さて、環境省がこんなことしてくれていたとは存じませんでした。数字を見て、喜ぶべきか悲しむべきか、はたまた笑っちゃうべきなんだか、迷います。たくさんの民間団体がとっくに動いて動いて、桁の違う実績を上げています。たとえば「動物いのちの会いわて」のこの春の会報には、猫だけで107匹を保護し、そのうち飼い主に返還されたのが23、譲渡が73とありました。
 とくに、この「返還23」という数字には感動しました。あの大混乱の中で離れ離れになった猫が、犬と違って鑑札もない猫が、それでも23もの家族のもとに返されたというのは、ほとんど奇跡に思えます。スタッフの方々の熱意とご苦労がしのばれます。
 今の問題は、ご指摘の通り、「増えている」ことです。現実に飢えている動物に置き餌をしないわけにはいかず、また保護(捕獲)のための撒き餌も必要で、でもそうした食糧が、不幸な繁殖をうながしてしまうことにもなり......、現場の方たちは、日々ジレンマに苦しんでいらっしゃると思います。微々たる後方支援しかしていない私なども、一丁前に悩むだけは悩んでおります。
 こたえは、出ません。出せません。
 ええ、ぜんっぜん、人ごとなんかじゃないです!

  • ニャンタのおば
  • 2012/07/26 19:19