なかぐろ(答え合わせ)

★日本語【中黒】



シミ・ハリのない肌に和漢のちから。
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月曜日の宿題


では、答え合わせをいたしましょう。
(下の方に、おまけ写真あり。)

「・」をなかぐろ(中黒)と呼びます。
ふつうは名詞を前後に並べ、その並びの関係が対等であることを示します。
「猫には、三毛・灰色・サビ・白など、いろいろな毛色がある。」のように。

ですから、きのうご紹介のこの広告文は、重大なミスですな。
ミス、と言っちゃっていいと思うんですよ。

だって、
シミのない肌
ハリのない肌
2つは、まったく需要が正反対。
その両方を同時に対等に追求する化粧品って、いったいどんなの?

なーんてイジワルを言いたくなりますもん。
もちろん、書いた人は、つぎの2つを並べたつもりだったのでしょう。
シミ
ハリのない肌

でも、なかぐろの性質上、読む人は、その前後に並ぶものを、
見た目からもボリュームからも対等のものとして読み取りがちです。
だから、読み手の視線は、とっさに前後のカタカナ2文字を拾い上げ、
「{シミとハリ}のない肌」という読みを脳内に浮上させてしまう。

その場合でも、ま、さいわい文は完結してませんからね、
「〜に和漢のちから......」のうしろを無理くり2通りに解釈すれば、
かろうじて筋は通らんこともない。

・和漢のちからがシミのない肌にします!
・和漢のちからがハリのない肌に効きます!

でも、違う要素を省略するなんて、ルール違反です。
いくら文脈依存度の高い日本語でも、そこまで甘えちゃいけません。

*

「間違った日本語」ではないけれど、「不親切な日本語」、
読んでスルっと理解さるべき広告の文面としては、NGでしょう。

この手の「なかぐろ」使いのうっかり(ミス)、
化粧品や健康食品の広告に、わりとしばしば見られます。
効能の多さを謳おうとするあまりでしょうか。
「倦怠感・疲労回復に、グイッとこの1本!」なんてね。
宣伝部のみなさま、ご注意なされませ。






猫はいいよなあ。

シミもなければ、
P1050713.JPG




ハリもない。

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緊張感のカケラもないよね、猫。
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コメント

あぁ〜、スッキリしました!
こてちさんではないけれど、あのコピーを見た時、ホント、頭がぐーるぐるとなりましたもの。
先生、見事な解説をありがとうございました。

  • おっチョコ
  • 2015/04/29 09:05

おー!自分のザル目に驚きました。
まーなんと正反対ですね。全然気付きませんでした、恐ろし恐ろし。
このガチガチな脳ミソをやわやわにほぐすには、やはりウリ校長のニャンタのおば学校にて、もっともっと学ばねば!

して、このような場合、「なかぐろ」ではなく「てん」ならオッケーだったのかな?

そっか、そういうことか。
ナカグロと句読点と、普段何気なく使っていて、分かっていたつもりがちゃんと分かっていませんでした(^^;
仕事で報告書を書く時、たまに訂正されるんですが、これからはしっかり区別できそうです。
シミ、うちの猫にはありますよ〜。
でも、それすらチャームポイント♪

シミはある、しかしハリはない。
その上最近は髪の毛にもハリ・コシがなくなりつつあり…。

ああ、人生のうつろいを感じます。


  • 伽美
  • 2015/04/29 17:37

心地がよくない日本語が 多くなってますね。
なるほどなるほど ふむふむ・・・よくわかりました.
ありがとうございます。
ナカグロって 魚の名前のようですな ねっウリちゃん。
この化粧品の成果は いかがなのでしょう?
「私はこれで シミとハリにない肌を手に入れました。」
そんな方 いらっしゃる?

  • きゃろりん
  • 2015/04/30 07:51

「なかぐろ」というものはさまで日本語のなかで使われるものなんですね。
わたくしが文章を書くときはほとんど読点を打っています。
それでいいのかどうなのかわかりませんが、無意識にそうしていると思われます。
「なかぐろ」はまったくわたくしの血肉になっていない!
明確なるご説明に、ちょっとした驚きでありました。
とほほです。

むろんバラク・オバマ(例に他意はなし)といった外国の名前や
単語の区切りなどではイヤというほど使っております。
そのせいか「その並びの関係が対等である」という意識が培われていないなかったのだなぁ、
と再認識しました。


◆宿題の提出とコメントを、ありがとうございました。
◇おっチョコさん
 どういたしまして。
 ことばをめぐってぐるぐる考えるのは、たのしいですよね。

◇lambidumidiさん
 はい、私もすなおに読点(とうてん)を使った方がいいと思いました。
 ボリュームが違うものを並べるときは、中黒じゃない方が安全かと。
 ウリ校長は、さっきから窓の外をよそ見しておられます。

◇まるちゃんさん
 「猫には、三毛・灰色・サビ、しましま・まだら・無地などがある」
 みたいなグループ分けには、中黒と読点の併用が便利ですね。
 杏クンにシミですと?
 鼻の頭やにくきうのアレは、柄です、柄♪

◇伽美さん
 シミもシワも(ハリも)、猫には無縁。
 あやかりたいものですわね。

◇きゃろりんさん
 でも、おもしろい日本語も増えつづけていましょう?
 ことばウォッチングは、たのしくてやめられません。
 この化粧品がどっちに効くか、スリリングですね。

◇こてちさん
 私も、まるちゃんさんへのお答えに書いたような場合をのぞけば、
 「並べる」ために使うことは、めったにないですねえ。
 カタカナ固有名詞の区切りか、箇条書きの頭に使うくらいかな。
 使用頻度は、文章のタイプによっても違うでしょうね。
 小説などの文学作品には、あんまり出る幕はなさそうです。

  • ニャンタのおば
  • 2015/05/01 08:08