2011.11.30 Wednesday
グリコがされたことは……
わたし(=グリコ)がされたことは、虐待ぎゃくたいでした。
わたし、グリコは、何年なんねんも前まえから、やさしいおじさんにかわいがられていました。
でもおじさんは急きゅうに重おもい病気びょうきになって、
どこかに連つれて行いかれてしまいました。
おじさんの親戚しんせきの人ひとが来きて、家いえにかぎをかけました。
わたしは、外そとに出だされました。
去年きょねんの12月じゅうにがつのことでした。
おなかがペコペコでした。
だれもごはんをくれません。
夜よるになっても、おじさんのおふとんに入はいることもできません。
とてもこまっていたら、近所きんじょのおばちゃんが気きがついて、
ごはんを持もってきてくれるようになりました。
へたくそなベッドも作つくってくれました。
でもわたしは、おじさんに会あいたいから、
がんばって、もとの家いえの庭にわにいました。
そうしたら、おじさんの親戚しんせきの人ひとがまた来きて、
近所きんじょのおばちゃんに言いいました。
「その猫ねこはもともと野良猫のらねこだったんだから、
ほうっておけば、そのうちいなくなる。
エサをうちの庭にわに置おくのはやめてくれ。」
近所きんじょのおばちゃんは、泣なきそうになって、ものすごく変へんな顔かおになりました。
そして、つぎの日ひから、ごはんを持もってきてくれなくなりました。
かわりに、自分じぶんの庭にわに、ごはんとお水みずを置おくようになりました。
その庭にわはわたしの「といれ」だったので、あんまり行いきたくなかったけど、
とてもおなかがすいたので、ときどき行いくようになりました。
そのおばちゃんといっしょに住すんでいるおじちゃんは、ちょっと太ふとっています。
病気びょうきになったおじさんと、ちょっと似にています。
その人ひとのひざに乗のってみたら、なかなかいい感かんじでした。
それに、あたらしいベッドも作つくってくれたので、
わたしはひっこしをすることにしました。
ひっこしをしてから、もうすぐ1年いちねんになります。
むかし、もっと乗のり心地ごこちのいいひざを知しっていたような気きがするんだけど、
もうあんまり思おもい出だせません。
今いまは、まあ、だいたい、しあわせです。
つづきをよむ。(↓)
* * * * *
野良猫を家に入れ、暖かい寝床と毎日のご飯をあたえる。
毎日、やさしい声をかけ、ひざに乗せ、なで、あそび、いっしょに眠る。
それを、急に外に放り出す。
自力で生きる手段と能力を奪っておきながら、自由にせよ、と突き放す。
今、環境省が動物愛護法改正についてのパブリック・コメントを募集しています。
近所のおばちゃん(=私)は、意見書を書いていて、「あ!」と気づいたのです。
グリコがされたことは、虐待だったのだ、と。
べつに、その薄情な親戚の人を法で罰してほしいとか思うわけではありません。
病にたおれた独り者の兄をしょいこみ、空き家の管理をするのはたいへんなことです。
その人から見れば、私は単なるメイワクでお節介な猫おばさんだったのでしょう。
ただ、これまで「虐待」の定義すらきちんとなされていなかったと知って、愕然としたのです。
ことばを与える、ことばでかたどる、ということは重要だと思います。
あなたがしていることは、コレコレにあたりますよ、と言えることが重要だと思います。
しゃっちょこばった、ギスギスした社会にはしたくないけれど、
そうしなければ守れないものがあるのだとしたら、法律作りを進めるべきです。
「吾輩と猫である。』のcoocooさんが、得意の漫画をつかって、
今回もわかりやすい「絵解き」の記事をかいてくださいました。
こちら(前編)と、こちら(後編)です。
前回は環境省のサーバーや電話回線がダウンするという混乱がありました。
今回も締め切り直前になると何が起こるかわかりません。
まだ動いていない方、どうかぜひ、coocooさんの記事をのぞいてみてください。
迷いやめんどうくささが消えると思います。
カメラを向けると「親愛の頭突き」のために突進してくるグリコ。
だから、カメラ目線のピンボケ写真しか撮らせてくれないグリコ。
「ほうっておけばいなくなる!」と言い放つ男性の、その足にすりすりしていたグリコ。
そんな明日のグリコたちを、たすけることにつながるはずです。
自分たちの手で世の中を変えるチャンスなんて、そうそうありません。
パブリック・コメントの〆切は12月7日(水)です。
明日はもう12月に入ります。
※この問題については、こちらでも記事にしました。
※12月1日追記
コメントをお寄せくださったキウイさんが、この日の記事(⇒こちら)の末尾に、
パブリック・コメントの提出のしかたをすっきりとまとめてくださっています。
結局どうすりゃいいの?!って迷子になりかけてる方、どうぞごらんください。
それに、『ほぼ日刊イトイ新聞』のイトイさんも、前回にひきつづき
呼びかけてくださってますそうな。心づよい!
グリちゃんっっ。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。ビエー!
あなたはほんとにいいおじさんとおばさんに会えたねえ。
よかったねえ。
「だいたいしあわせ」ってすごくいいことなんだよ〜。