春の高山祭り(日枝神社)


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4月半ばの高山は、まだこんな感じ。ようやく草が萌えはじめたというところ。

高山祭りは、春と秋の、年に2回、執り行われます。
飛騨山中のちっぽけな城下町が、あれだけの美祭を2度もまかなえるとは、
わがふるさとながら、大したものだと思いますが、
祭主は、それぞれ別の神社です。

は、日枝神社(=山王さま)。
は、八幡神社(=八幡さま)。

高山は、京都の町を模した作りになっていますから、それで説明しますと、
鴨川に当たる宮川を背に、東山に当たる城山を正面に見て、
右手(=南)にあるのが、日枝神社
左手(=北)にあるのが、八幡神社です。

八幡神社には、屋台会館なる観光施設があり、
年がら年中、祭り屋台を見学することができますし、
川端の朝市も近いので、人あしの絶えることがありません。
 ※八幡神社については、こちらの記事でご紹介しました。

対する日枝神社はそれにくらべて知名度が低い。
よって観光客の姿もめったに見かけませんが、
なかなかよい神社です。

何しろ静か。
そして参道脇にはきれいな水が流れているのです。
ずっとつづく石畳、杉並木、おまけに水の音。
いいでしょう?

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日枝神社、参道の始まり。すぐ左脇を、きれいな水が流れています。

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流れをたどってのぼっていくと、
境内では、祭りに向けて、氏子のみなさんが、忙しく働いていました。

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奥殿わきの大杉。

* * *

このあたりは東山が市街に向けて、切り立ったがけになっているため、
道路わきにも豊かに水があふれており、要所要所に水盤が置いてあります。
これは、だれかが家にあった石の臼を寄贈したものでしょう。
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いいなあ、と写真を撮っていたら、サッカーの練習帰りか、自転車の小学生。

コンチワッと元気に走り抜けざま、カラフルな靴下を、画面に入れてくれました。
ありがとうよ、少年!


上の画面の右手には、例によって火伏せの神さま、秋葉さまの小さなお社があります。
 ※ラブリーな秋葉さまについては、こちらでもご紹介。

いつもはかたく閉ざされた扉が、祭りのあいだは開いています。
御幣も清らに、幕の色もすがすがしい。
その前には、白木の三方がずらり。
海のもの、山のもの、田のもの、畑のもの、と捧げものが美々しく盛られています。P1070123.JPG
こういう小さなお社って、ドールハウスみたいだなあ。
中を見てみたいなあ。

と覗きこむ私の気配に驚いて、小さな社殿の陰からヒヨドリが飛び立ちました。
さては、と三方の上をよく見ると――、
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アッハッハ!
りんごに穴が開いておりました。
ガシュガシュと、小さなくちばしの跡。

お食べ、お食べ。
神さまにさしあげたものは、君たちのもの。
誰も文句は言わないよ。

スルメに、玉子のパック。
秋葉さまは、 にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へ 街角の神さま♪

春の高山祭り(の前)


天満神社の紅梅。
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4月13日撮影。

先々週、生まれ故郷の飛騨高山に帰りました。
4月の真ん中といえば、春の高山祭りです。
商売柄、新学期のスタートとかちあうこの時期、
めったに祭りに帰ることはできないのですが、
今年は曜日のめぐりあわせがよく、
久方ぶりに祭り気分の高山に帰ることができました。

昨秋の散歩編以降も、何度となく高山にはもどっておりましたけれども、
事情により、カメラをもってぶらつく余裕はありませんでした。
が、今回は、それもひと段落して、のんきに町を歩く時間が取れました。

歩けば、やっぱりよい町です。
今年の春の祭りはとうに終わりましたが、せっかくですので、
雰囲気の一端なりとお伝えいたしたく、数回に分けて記事にします。

といっても、祭り本番の15日には東京に戻ったため、
お伝えできるのは、その直前の2日間の様子です。
でも「祭りの前」というのは、むしろ当日よりも心弾むものがあります。

* * *

ここは家からも近く、子どものころよく遊んだ天満さまの境内。
例年ですと、梅と桜がいちどきに咲くのですが、今年は春が遅くて桜は固いつぼみのまま。
梅だけが、ひと足早く、開いていました。

よくよじのぼって遊ばせてもらった、天満さまのおつかいの牛。
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背中にまたがってはしゃぐ子どもたちを、神主さんは怒りもせず、遊ばせてくださいましたが、
今日はさすがに、四囲に注連縄を張りめぐらせて、おごそかなたたずまい。


国道脇の小さな神社ですが、本殿のまわりには杉木立もあり、夏は蝉採りの人気スポットです。
かの博物学者、南方熊楠の先見の明は、すばらしいものであったと、今さらに思います。
町や村に、てん、てん、と島のように残る鎮守の森は、
生き物にとっては、砂漠のオアシスのようなものなのに違いありません。

この日も、本殿脇の杉の根元に、木漏れ日をスポットライトのように浴びて、
アトリが一羽、降りたちました。

すたっ。
紅を帯びた栗色の小鳥。

車の音も、祭りの支度に忙しい社務所のざわめきも、その瞬間、すっと消えるようでした。


鎮守の森は  にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へ 「鳥の駅」♪


☆・ しばらく、この「春の高山祭り(の前)」シリーズを続けます。・☆
「日本語文型辞典」率が急降下いたしますが、
どうかおつきあいくださいませ。
(ああ、猫率も下がります〜。)

〜たら【解説】

きのうの例文は、これでした。(↓)

 ◇グリコ 「わたしをひざに乗せなさい。」
   お ば 「まきを運はこんじゃったらね。」
   グリコ 「いーや、今いますぐ乗る。」

ウリは、猫とは思えないほど、まことに聞き分けのいいコですが、
グリコは、そうはいきません。
ほんとに、こんな感じなんです。(実写版↓)



いますぐ! 乗るっ!
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この顔で甘えるんですようっかり膝に乗せたら最後下りやしないもーまいっちゃうなあぁあ......

* * *

さて、解説。

「〜たら」の「〜」に入るのは動詞だけではありませんし、
意味・用法も、もっといろいろあるのですが、
一回では語りきれないほど話が広がってしまいますので、
今回は、動詞のタ形限定の、これだけにしておきました。


最低限、初級レベルの日本語で押さえておきたいことは、
つぎの3点でしょうか。

(1)「Aたら、B」というとき、A、Bは時間的にこの順(A⇒B)で継起する。
  たとえば、「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」という標語がありますが、
  これはやはり、この文型で、この順でなければ、いけません。
  「乗ったら飲むな」というのは、きわめてナンセンスな忠告であります。
  (間違っちゃあいないにしても。)

(2)タ形を使うけれども、これはテンスの「過去」ではない。
  上の(1)に関連することですが、BよりもAが先に実現するという、
  相対的なできごとの順序をあらわす「た」なのです。
  ですから、「この授業が終わったら」とか、「来年になったら」のような、
  "未来志向"の例を、意識的に取り上げたほうがいいと思います。

(3)「〜たら」の条件節は、ほかの「と、ば、なら」にくらべ、後件(=主節)の自由度が高い。
  例文にあげたような、聞き手への働きかけ(「行こう/遊ぼう」)を含むような文は、
  ほかの条件節では使いにくいことがよくあります。

ほかにも、もろもろ語るべきことの多い文型ですが、
少なくとも導入時には、どちらかといえば 'if' よりも、 'when' として扱っておいたほうが、
のちのち、混乱せずにすむと思います。
条件節の複雑さについては、こちらの記事もご覧ください。

おしごと
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この後しばらく、久しぶりに飛騨高山の散歩録をちらほらはさんでまいります。

〜たら


ぜんぶ咲
たら、きれいでしょうね。
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【かたち】
 動詞どうしのタ形けい+ら、......
  ◇咲く⇒咲いたら、なる⇒なったら、飲む⇒飲んだら、食べる⇒食べたら


【意味いみ
 「Vたら、......」のかたちで、
 〈何なにかが起こる/何なにかをする、そのとき〉という条件じょうけんをあらわす。


【例文れいぶん
 ◇はるになったら、どっか(=どこか)遊あそびに行こうね。

 ◇ウリ 「おばちゃん、あそぼ〜。」
   おば 「この仕事しごとが終わったらね。」
   ウリ 「うん。」

 ◇グリコ 「わたしをひざに乗せなさい。」
   お ば 「まきを運はこんじゃったらね。」
   グリコ 「いーや、今いますぐ乗る。」


* * *


ずっとずっと向こうまでつづく、水仙すいせんの行列ぎょうれつ
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この写真しゃしんを撮ったのは、4月しがつの13日じゅうさんにち
高山たかやま南郊なんこうの田んぼの脇わきです。
きっと今いまごろは、きれいに咲いていることでしょう。
んぼにも水みずが張られ、ツバメが忙いそがしく飛びかっていることでしょう。


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☆・解説かいせつは、明日あした曜日もくようび!・☆

合格するための本

日本語教師を目ざす方へ

今年も出ました!
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あ、ウリや、ちょっとこっち向いて。

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いやいやいやいや、お口はとじて!

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そうそう。
で、もうちょっと頭、下げてくれる?

P1070285.JPG ぷ〜。


えー、あらためまして、出ました。
『平成24年度 日本語教育能力検定試験 合格するための本(アルク)


年に一回、日本語教育能力検定試験を受けようという人々のために出されるムックです。
わたくしも問題演習と解説の執筆陣にくわえていただきました。
担当したのは、「区分5 言語一般」、日本語の文法を中心とする分野です。

担当編集者さんの広〜い心により、ギリギリまで猫分増量!
検定合格を目ざすのはもとよりの目的ですが、なるったけ楽しい出題を心がけました。
(例文が生きてない文法書って、いやなんです、ワタシ。)

日本語教育、あるいは日本語教師という職業に関心がおありでしたら、
ぜひ、お求めになってみてください。
定価2,500円(+税)。あら、高いわ。
聴解問題のCD付きですし、この手の本の中では、抜群の鮮度と充実度かと思います。
受験はしないという方でも、読めばけっこう新鮮な発見があることは請け合います。
お近くの図書館に購入リクエストなぞ出していただければ、幸甚至極。

今年の試験は、10月28日(日)、
試験会場は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡の予定。
出願受付は6月25日(月)から8月13日(月)までだそうです。
詳細はこちらをごらんください。


ところでこの本、各分野の冒頭には、執筆者の紹介欄があり、似顔絵が出ています。
これはチャンスとばかりおねだりして、私はウリとのツーショットを描いていただきました。
うふふのふ♪

ウリも でてるの?
そうだよ〜。
ギャラは?
どこでそんな単語覚えた?
 こんやは  にほんブログ村 教育ブログ 日本語教育へ おさしみ〜♪


※この検定試験についての当ブログの過去の記事は、
  ⇒「日本語教師になる方法」
※次回、水曜日は、日本語の勉強にもどります。

『氷菓』(宣伝です。)


おばちゃんが あさから さわいでます。
はじめまして。

今では信じがたいことですが、私にも高校生時代がありました。
制服は、セーラー服。
冬は濃紺に白いリボン、夏は白服に濃紺のリボン。
プリーツスカートのすそをなびかせ、宮川べりを自転車で通学しておりました。
きゃあ。

出身校の名前は岐阜県立斐太ひだ高等学校といいます。
あるいはご存じよりの向きもあるかもしれませんが、
卒業式には「白線流し」と呼ばれる行事がある学校です。
以前、同名のテレビドラマ(こちら)になったことがありましたが、
なぜかロケ地はお隣り長野県松本市になっていました。
当時の校長先生がロケに反対なさったからだと聞いたことがあります。
卒業生一同、ひそかにブーイング。

が!
このたび、新しいテレビアニメが始まります。
その舞台が、なんとわが母校。
アニメーション制作会社が学校に行って写真を撮り、忠実に絵にしたのだそうです。
プロモーションビデオを見てみましたら、「あっ、あそこだ!」「あの並木だ!」とすぐわかる。
今の校舎は私がいたころのものではありませんが、それでも敷地の風景は同じです。
(ただし、スカートの丈については、フィクションが入ってますね。
 今のコたちも、ちゃんと膝まであるのを着用してます。)

そんなわけで、同窓生の間では、ちょいと話題になっているこの作品。
原作者は米澤穂信さんとおっしゃる方。
はい、斐太高校の卒業生でいらっしゃる。

たのしみですわ。
ドラマのタイトルは『氷菓』
オフィシャルサイトはこちら
局によって違いますが、今夜日付が変わる時刻に、第一弾の放映開始です。
放送局と放映予定のリストは、こちら

在校時はありがたみがよくわかっていなかったけれども、
どことなく旧制高校みたいな骨太なところがあって、いい学校でした。
どんなふうに描かれるのか、とってもたのしみです。
今夜は夜更かしするぞぅ。

高山弁しゃべるのかな。
それはないかな。

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桜のオムスビ


先週、ようやく咲きかけた東京の桜をよそに高山に帰り、
わずか2日と半分の滞在ののち東京に戻ってみたらば、
桜は、......終わっておりました。

くぅ。

そんな次第で満開の桜を見逃した今年の春ですが、
ニッポン人たるもの、いかでお花見果たさでおくべきや。
高山に帰る前日、わずかにほころびかけた隣の町内の桜をことほぎ、
自宅の二階で、お花見ランチを挙行したのでありました。

北のほうでは、今からお花見弁当をこしらえるお宅もございましょう。
ご参考までに、わが家定番のお花見用おむすびをば、ご紹介。
――などとエバるほどのことはない、いたってシンプルなものですが、
これが、なかなかどうして、イケルのですよ。
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もち米に、炒った黒豆をまぜて炊き上げ、桜の塩漬けを刻み込んだもの。
色も香りもよろしくて、小ぶりににぎっておけば、お酒のお供にも悪くありません。

急に思い立ったお花見なので、あとはありあわせ。
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桜えびの釜揚げと岩海苔を入れた、だし巻き。
ウドのきんぴら(チンゲンサイとセロリで増量)。
赤カブの酢漬けは、先般の宴会でのYちゃんのお持たせ、
お客に出し忘れていたのを、シメシメと取りいだして添えました。

ランチョンマットも桜色にして、とりあえず宴席調う。
汗ばむほどの日でしたから、桜模様の麒麟麦酒を、つつましく一缶添えて、と。
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ウリは、ヒトの食べ物には興味なし。
助かります。(お刺身のときは厳戒態勢を敷きます。)

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人ごみがきらい、出かけるのがおっくう、第一そんな暇がない、という人間でも、
お隣の庭がりっぱだと、家にいながらにして優雅にお花見ができるのでした。
ありがたや、ありがたや。

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イ形容詞のナイ形【解説】

前回ぜんかいのつづき。)
イ形容詞けいようしのナイ形けい【解説かいせつ

では、説明してあげます。


日本語の形容詞には、2種類あります。
イ形容詞と、ナ形容詞です。


  イ形容詞は、名詞の前で、「〜い」になります。
   ◇かわい猫、かしこ猫、大き猫、小さ猫、あしの短猫、......
   ◇暖か日、寒部屋、おいしご飯、まずおやつ、忙ししごと、......

  ナ形容詞は、名詞の前で、「〜な」になります。
   ◇きれい猫、ハンサム猫、親切猫、元気猫、......
   ◇バカ人、ひま日、上手ブラッシング、快適ベッド、......


形の変え方(=活用)が違います。
ナイ形の作り方も、違います。
 イ形容詞: かわいい ⇒ かわいくない
         大きい   ⇒ 大きくない
         ※「いい」は特別: いい ⇒ よくない

 ナ形容詞: バカな ⇒ バカじゃない
         ひまな ⇒ ひまじゃない



あの灰色の小さいおバカな猫のトイレは、悪くないわよ。
風が当たらないから、なかなかいいわ。


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「きれくない」はどこから来たか。(↓)
※4月19日加筆あり。(↓の↓)
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