秋みっけ三毛

ぴんぽ〜ん♪
出てみるとご近所のMさん。
「お宅の猫ちゃん、迷子になってませんか?」

聞けば、朝から三毛猫がウロウロしていて、
玄関を開けたらするりと入ってきてしまったそうな。
ハムスターと金魚を飼っているので、とっさに追い出したのだけれど、
とにかく中に入りたがってしかたない様子は、野良とは思えぬ、
たしかこの家は猫を飼っていたはず――、と当たりをつけて、
わが家に聞きにきてくださったのでした。

どれどれと見に行ったら、こちらの、なかなか味わい深いお方。
P1060221.JPG
(写真は、後日、病院にて。)

この界隈では見かけない顔。
飢え切って、かなりやせこけてはいたけれど、
さほど汚れてもおらず、健康状態も悪くない。

知る限りの近隣の動物病院に照会してみるも、捜索願は出ていない。
やはり捨てられたか。

Mさんは猫飼いの経験がないとのこと。
ならば、と、わが家の方に誘導してみるのだけれど、
いかんせん、うちの庭にはグリコがいます。
顔が合うたび、三毛子はまっしぐらにMさんちのほうに駆けもどってしまう。
M家の外玄関にぴしっと座ってドアを見あげるその様子は、
「ここ、アタシのうち!」と決めているようでした。

でもMさんちには、ハムスターと金魚......
よし、しばらくこのまま外猫としてMさんにご飯の世話をしていただきつつ、
いっしょに里親探しをしましょう、ということになり、
当座のカリカリをお分けし、先輩ヅラしてもろもろのアドバイス。

しかし何の助言も要らぬほど、Mさんは、猫センスバツグンの方でした。
猫がいやがりそうな動きや音がよくわかってらっしゃるし、
まるでもう何年も猫と暮らしてきたかのように、触れ方が的確。
そして、こんなに中に入りたがるのだから家に入れてくれる人を探したい、
とおっしゃり、雨の日など、どうしているかと気が気でないご様子。

そうこうするうち、ある晩「左目が開かない状態で帰って来た!」とSOS。
ケガか? 猫風邪か?

Mさん、きっぱりとおっしゃいました。
「今夜から家に入れます。そして病院へ連れて行きます。」
正直、そこまで入れ込んでくださるとは思っていなかったので、
感激しました。

取り急ぎ猫トイレを提供し、翌々日、動物病院へ同行しました。
M家のかわゆいお嬢さん2人も付き添い。


目のチェック。
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二夜明けたら、目はほとんどきれいになっていた。
まさかと思うが、三毛子の仮病大作戦だったのか?!

耳ダニ、よーし。
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お腹も、よーし。
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検温は、......ちょとイヤかも。
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何をされても怒らない。フーもシャーも言わず、
「かむ」とか「引っかく」とか言う動詞があることも知らない様子。
獣医さんもびっくりの、いい子。
まさに理想の「初心者向け」の猫ではあるまいか。

ひととおり検査が終わると、四方から大きい手と小さい手が伸びる。
「いい子だねえ。」「よくがまんしたねえ。」
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**

このキャリーは、わが愛しのニャンタが使っていたもの。
高山の実家にも、これで何度も遠征したし、
マレーシアに赴任するときは、これに詰めて空を飛ばせたのであった。
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そのかごに、今またニャンタと同じ三毛猫が入っているのを見るのは、
なつかしいような、さみしいような、うれしいような。

**

さて。
病院からもどって1週間。
Mさんからメールが来ました。




「うちで飼うことに決めました。」



ハナっからそうなる気はしていたよね♪
赤い糸、いやさ、ロープが、ザイルが、しっかり結ばれていたんだね。
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この少女が、名付け親。
三毛子は、「キャミィ」になりました。
名付け親さん、末永く、よろしくね!
Mさん、ほんとうに、ありがとうございました!


キャミィちゃん、キミは人を見る目があった。
(かなり強引に)手に入れた幸せを、放すんじゃないぞ!
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あと、ハムさん金さんには手を出さんようにな!



※「Mさんの悩み」について、蛇足。(↓)
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東北旅エピローグ、ア〜ンド......!


旅からもどって、たまった新聞を読んでいると――、


のっすり。
P1050688.JPG


ウリを よむにゃ。
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しばらくいては立ち去り、立ち去ってはまた、「おばちゃん確認」に来る。
そのたびに新聞読みは中断、読みかけの記事はあきらめて、
その上に、つぎの新聞を乗せて読むことになる。


しっぽのうえに のせないでくださいにゃ。
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勝手なことを。



おまけ。
遠野のくら乃屋さんファンから石を投げられそうな写真。
背中に手を回す.jpg
たまさーん♪ (撮影=女将さん)

下りたがっている猫を無理やり抱きかかえている、
ように見えるかもしれませんが、ちがいます!

このとき、たまさんは、わずかに反らした頭をわたくしの腕にもたせかけ、
ふたりはしっかり、目と目を見交わしていたのであります。

ニャンタがいなくなってから初めて抱っこした三毛猫さん。
三毛はいいのぅ。
猫は三毛に限るのぅ。

灰色しましまにはご内聞に。
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なーんてな記事を
用意していた
9月みそかの
夕つ方、









三毛猫

降臨!!


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わわわ〜〜!!


このつづきは次回!

この三毛の身の振り方はすでにめでたく決まりました。
ただ、バカみたいに写真を撮りすぎたもんですから、
記事にまとめるのに手間取っております次第。
しばし、お待ちくださりませ。
何なのよ、
あの三色は!

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東北旅15 舟に乗った。

旅の2日目(9月10日)

   サッパ舟アドベンチャーはつづく。
 


再びエンジンをかけ、サッパ舟は海岸沿いに北上を続けます。
こんな狭いところも、さしてスピードを緩めることなく突っ込んでいく。
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うわーっぷ。

通り抜けた後、ふりあおいで拍手すると、
ちょっぴりどや顔の船頭さん、川畑州作氏。
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※下船後、「乗船証明書」というのがもらえます。船頭さんたちの顔写真入り♪



今日は波が高いので入りません、ごめんね、と言われた岩穴。
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ええ、けっこうです。入らないでください。

でも、波の静かなときは、中はほんとうに「青の洞窟」なんですって。
そう聞くと、閉所恐怖症気味人間も、入ってみたくなる。

**

柱状の岩の上に、ミサゴ(英語ならオスプレイですな。)の巣をいくつか見る。
津波の後も、ちゃんと営巣して、若鳥が巣立っているそうです。
漁師さんたちが、ミサゴを気にかけている様子が伝わって、ほほえましい。

首が痛くなるような(いや実際痛くなった!)鵜の巣断崖を見あげつつ、
北山崎展望台の下まで行ったのち、船首を南に返す。


あ、海の色が違う。
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違う、違う、ぜんぜん違う。
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少し前に雲が切れて日が差し込んだせいでしょうか。
川畑さんにそう言うと、
「光のせいもあるけど、潮目が変わったんだね。
 このへんは親潮と黒潮がぶつかるとこだから、
 潮の流れが変わると、がらっと色が変わるよ。
 鳴門の渦潮ほど有名じゃないけども、
 このへんも、海流の入り替わりは相当なもんなんだ。」


船頭さんは、あの大津波の日、
海浜清掃ボランティアの地元高校生たちを連れて、
机浜の近くの海岸に船を着けていたのだそうです。
不思議に揺れは感じなかったのだが、岩が落ちてきたのに驚き、
高校生たちにはまっすぐ高いところに逃げるように指示したのち、
ご自分は津波をいくつも乗り越えて沖に舟を逃がしたのだそうです。

「そりゃおそろしかったですよ。」と言いながらも、
海の色や、ミサゴの消息について話すときのことばの端々には、
それでもこの海が大好きなのだ、というお気持ち、
この海を誇りに思うお気持ちが、強くにじんでいました。

**

潮が変わったせいか、外海に出たせいか、
急に波が高くなり、乗客に合羽が支給されました。
デコン、デコンと船底に当たる波の硬さに、アドベンチャー気分♪

出てきた港に帰ります。
正面に見えているのは、ホテル羅賀荘
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2011年3月11日の大津波では、3階まで、ことごとく窓が破られたそうです。
2012年11月に営業再開。

**

船頭さんにお礼を言って、舟を下り、さて、お昼どき。
見回しても食堂などというものはありません。
このホテルが一軒、復旧したのだってすごいことだったのです。

ホテルの売店で、アンパンと飲み物を購入し、
ロビーの隅を借りてお昼ご飯。
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このヨーグルトがおいしかった!
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あとで知ったのですが、田野畑村って、酪農がさかんな土地なんですね。
くーっ、アイスクリームも食べるべきであった!



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過発酵寸前の旅の記録、これにて終了!
(時間の流れの上では、このあと東北旅5に続きます。)
長々とおつきあいくださいまして、
ありがとうございました。

へえ、たのしそうじゃないの。
ほー、きれいじゃないか。
おや、うまそうだな。
――と、少しでも思っていただけたならうれしいです。
ぜひ、ご自身で確かめにいらしてください!

東北旅14 舟に乗る。

旅の2日目(9月10日)

   田野畑でサッパ舟に乗る。


高台にある田野畑駅から、いざ、海を目指して歩き出す。
真新しいアスファルトの道路を下っていくと、
「ひらいが」と書かれた水門が見えてきました。
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三陸鉄道の車両を模した監視小屋のようなものが乗っています。
おや、かわいいじゃないの、と近づいていくと、
あ......

窓が破れている。
外階段の手すりも、ひしゃげている。

津波だ。
津波が壊したんだ。

頭上はるか、見あげる高さです。
割れた窓ガラスの痛々しさと、その高さ。

しばらくぼうっとしていましたが、
このまま、この気分のまま3時間も過ごすのはよくないな、と思う。

駅でもらってきたパンフレットにサッパ舟なるものが載っていました。
要予約、2名様以上と書いてあったのであきらめていたのだけれど、
ダメモトでパンフレットの番号に電話してみることにする。
(ケータイ持っててよかった、と、人生で2度目ぐらいに思いました。)

電話すると、レンジャーだというキビキビした女性がキビキビと――
「今、平井賀の水門ですか?
 あと10分ほどで舟が出ます。
 目の前にトンネルがあるでしょう?
 それを抜けたとこにあるホテルの前から舟が出ます。
 がんばれば間に合うかもしれません。
 がんばってください!」

え、あ、お......
トンネル、苦手なんですけど。
(単線鉄道のトンネルは、好きだが。)

むー。
でも、がんばってくださいと言われたのだ。
がんばることにする。

トンネル嫌いが幸いして、半ば駆け足で長いトンネルを抜ける。
出口脇のホテルを回り込むと、前が小さな港になっていて、
そこにオレンジのライフジャケットを来た小さな人群れが見えました。
「安全のために」と書かれたフリップを片手の女性が
私を見て、「よくがんばった。」というふうに、うなずいてくれる。

どうやら時間かせぎをしてくれていたようです。
私は安全講習ぬきで、すぐにジャケットを着せられて、即、出港。


サッパ舟はとても小さなボートです。
船頭さんが船尾に立って舵とエンジンを操りながら、案内をしてくれるのです。
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船頭さんは、現役の漁師さん。
舵を握る手が、カッコイイ。


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奇岩の連続。

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外海には白い波しぶき。


とある入り江に入っていくと――、
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わかりますか?
波受け堤防です。
画面向かって右は、津波に耐えた部分。
左半分は、「ころんだ」部分。

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回り込んで近づくと、その大きさに圧倒されます。
津波は、こんな巨大なコンクリートの塊を「ころばせた」のか。

完全に裏返し。
デコボコした面は、ほんらい海底に接していた部分です。
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しかし。
見あげる大きさとはいえ、これはほんの小さな入り江の堤防です。
万里の長城にたとえられていた、あの田老の堤防は、
いったいこれの何層倍の規模だったのであろうか。
そして、それをも、津波はあっさり破壊しさったのだ。


この入り江は、机浜というところだそうです。
エンジンを止め、揺れる船の上で船頭さんが説明してくださいます。
手には、机浜の、震災前の姿を写した写真。
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机浜番屋群という、漁のための作業小屋がたくさんあったのが、
津波でぜんぶ流された。
レトロな雰囲気で、観光客にも人気が出始めていた矢先だった。
――漁師さんの口ぶりに、くやしさがにじみます。

帰ってから調べてみたら、とても魅力的な場所だったようです。
行ってみたかったなあ。
でも、いま、その再生プロジェクトが、力強く進行中。
サポーターと共に、津波で埋まった井戸を掘り直したり、何だかたのしそうです。
フレー、フレー、机浜!


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明日はいよいよ(やっとで)最終回。
サッパ舟アドベンチャーのつづき!

その前に、「ころんだ堤防」を見て考えたこと(↓)、
お時間ありましたら、お読みください。

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東北旅13 田野畑駅

旅の2日目(9月10日)

   田野畑駅に到着


乗ってきた列車。
あれ? 久慈で乗ったときと先頭車両の顔が違う。
知らない間にどっかで増結したのかな?
半端テツのおばにはよくわかりません。

P1050230.JPG
右が駅舎。
列車を降り、ぞろぞろと線路を渡って出口に向かう。

ここから先の線路は、赤くさびています。
列車が走るようになれば、レールもきれいな鉄色を取り戻すはず!
がんばれ、三鉄!


改札口には、クールにがんばってる鉄道ダンシ
P1050232.JPG
イケメン駅員さん(ただし二次元存在)が、迎えてくれます。

乗客はそのまま、駅前に待っていた大型バスに吸い込まれていきました。
ほんとに「あまちゃんの鉄道に乗る!」だけが目的だったんですのね。
ストイックだなあ。

いっとき大にぎわいになった駅は、たちまち閑散。
せっかくのお客さんたちの財布は開かずじまいです。
田野畑駅も、欲がなさすぎ。


駅舎の外観。
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カンパネルラ田野畑駅。

そのすぐ外、ここにも真新しい石のシルシ。
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こんな高いところまで?
海は、はるーか先のほう、ずうっと坂の下のほうですよ?

**

田野畑から次の次の駅、小本までの間、
三陸鉄道はまだ復旧していません。
その間は岩手県北バスがつないでいるのですが(⇒☆東北旅6)、
そのバスが出るまで3時間もあります。

海まで、歩いてみることにしました。

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明日は、田野畑の海で舟に乗る!

東北旅12 三陸鉄道北リアス線

旅の2日目(9月10日)

   三陸鉄道北リアス線に乗る。



朝日のなかの三陸鉄道久慈駅。
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写真を撮っていたら、目の前をパタタ、ヨタタ......
緑と茶色の飛行物体が横切った。

ぽてん。
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キミは踏まれたいのかね?

カマキリにしてもカブトムシにしても、あと、セミなんかも、
飛ぶの下手すぎ!
こんなお粗末な飛行能力と行き当たりばったりの着地で、
なぜ絶滅せずにいられるのか、不思議でしょうがない。

「放せー!」 顔を三角にして怒るカマさん。
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噴水脇の植え込みへ、強制連行。


きのうお役立ちの時刻表をくれた窓口で、切符を購入。
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硬券ですよ♪

後ろのの意味がわからん!
改札を入ったすぐのベンチにいました。
駅員さんの帽子をかぶってシャケを抱えています。
あとで正体を聞こうと思って、忘れてしまいました。
==追記==
コメント欄に答えがあります。
まるちゃんさんが調べてくださいました!



跨線橋を渡って、ホームへ。
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北リアス線の入線を待つおじさん。「まだかなー。」

どっから湧いてきた?と思うほど、わらわらと人が増えてくる。
三陸鉄道、人気者です。

お、入ってきた、入ってきた。
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人々、いっせいにカメラやケータイをかざす。(私も。)

三陸鉄道北リアス線、田野畑行き、入線!
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4両編成の車内は、おお〜、ゴージャス!
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ほぼ満席。
聞えてくる方言から、へえ、地元の人が多いんだなあと思ったのですが、
向かいに座った女性2人にお聞きしてみたら、
地元岩手ではなく、青森の弘前から来たとおっしゃってました。
老人クラブの日帰り旅行だそうです。
もちろんお目当ては、あまちゃんの鉄道に乗ること。


満員のお客さんを乗せて、いざ、出発進行!
三陸鉄道さん、車掌区・保線区、総出でお見送り。
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くすぐったいけど、うれしくなっちゃう、こういうの。

三陸鉄道は、手を振られる率が高いと思いました。
田んぼの畦で、家の庭先で、小さな川の橋の上で、
孫連れのおばあちゃんとか、幼稚園のお散歩組とかが、手を振ってくれる。
振られたら振り返す主義のわたくし、小さく手を振って、たのしみました。


景色のよいところでは、列車は徐行・停車してくれます。

写真ではよくわからないと思いますが、とんでもない高さの鉄橋。
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眼下で海に流れ込む川は、信じられないくらい澄み切っていました。
きのう海岸を少し歩いてみて実感したことですけれど、
三陸海岸は、山が直接、海に接しています。
だから、川も、ニンゲンどもに汚される暇もなく、流れ込むんだなあ。

再び動き出した列車から、北の方を振り返る。
かすむ半島は、もしかして、きのう歩いたあたりかしらん?
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明日は、田野畑
『あまちゃん』では「畑野駅」。



東北旅11 陸中海岸を歩く

旅の(まだ)1日目(9月9日)

   久慈、侍浜


宿に荷物を置いたのが4時ぐらい。
9月でしたから、まだ日は高い。
とにかく眺めのいいところにある宿で、
目の前のひろびろした草地の先には太平洋。
これはやはりちょっと歩いてみたいではありませんか。

下の方から波の音が聞えるのを頼りに、遊歩道を行く。
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人っ子一人歩いていなくて、いい気分ではあるのだが、なーんか、ヘン。
暗いほどの深い森、かたわらには渓流、まさに深山幽谷のおもむき。
なのに足もとから、ザババ〜ンと、波の音。
どうにも、びみょうに、みょうな、感じ。

そうか。そうであった。
三陸海岸とは、そういう地形なのであった。
山がそのまま、一気に、海になだれ込んでいるんですね。

そうかそうかと納得して急な細道をずんずん下って行くと、
とつぜん目の前が開けて、小さな漁港に出ました。
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「右、横沼展望台」の標識にしたがって、
いったん下った道を、右に上っていく。

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真新しい、石のシルシ。

ああ、......
通り過ぎてきた漁港を振り返ってみる。
眼下に、軽トラの止まっているのが、小さく見える。
さっき見あげた堤防が、ここからはずいぶん下の方に見える。

津波が来たら、ここまで駆け上がらなければいけないのか。
津波の高さを、自分の「足で」確認した瞬間でした。

**

車道をそれて、展望台に登る道に入る。

秋は菊の季節。
シラヤマギクかな。自信ないけど。
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その下には、ツルフジバカマかな。これも自信ないけど。
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これは自信あるぞ。ツリフネソウ。
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花をたのしみながら登って行くと、出た!
P1050139.JPG
横沼展望台。
人の気配はありません。
ワクワクしながら上がっていくと――、





どーん!

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うっはー。



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うっはっはー。


しばし、放心。
独り占めですよ。
この広い空と広い海を。

来てよかったなあ。



足もとにはハマギク。
まだつぼみだったけど、かわいい。
潮風に負けない短い茎に、咲く気まんまんの丸いつぼみが、かわいい。
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展望台の手すりに、赤くない赤とんぼ。
傾きかけた陽を羽根に受け、
キラキラ、キラキラ、無数のとんぼが飛んでいました。
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海はとても広くて大きくて、
とんぼたちは、とても小さかったです。


いまだ還らぬ人びと、2,652人。




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明日は、三陸鉄道北リアス線

東北旅10 お風呂で日本語

旅の1日目(9月9日)


久慈で泊まったのは、こちらの宿。
P1050175.JPG
名前がね、侍の湯きのこ屋っていうんです。
どんなアヤシイ宿かと思いますでしょ?
でも大正解でした。

設備ははっきり言ってかなりオンボロロ、トイレも共同ですが、
掃除は行き届いていて、素足で歩いても気持ち悪くない。
細かいことですが、スリッパのないのもよかったな。
スリッパ、苦手なんです、ワタシ。

一人客だからってイジワルな料金設定もないし、
ちゃんと眺めのいい部屋をあてがってくれました。
そう、この宿は、その眺めが、何よりすばらしい。
一晩中窓を開けて、海の気配を感じながら眠りました。

お風呂も、100点満点を進呈したい。
シンプルな広い湯船が2つ、大きな窓の向こうは太平洋!
あごまで沈んだ状態で、目の高さに水平線!
http://www.kinoko-en.com/facility/facilitydata/img1246769637.jpg
※写真は宿のHPから拝借。

ジャグジーがないのも、たいへんに好もしい。
ジャグジーにブガジャガ言われると、興趣半減なのです。

しかも一晩中入れる。
翌朝には、こんな朝日風呂♪
http://www.kinoko-en.com/facility/facilitydata/img1229042258.jpg
※この写真も、宿のHPから拝借。

サウナも広くて清潔、おまけに水風呂がこれまたぜいたくなほどの広さ。
そして、そして、露天風呂はないけど、露台がありました。
裸んぼで太平洋を眺めるのは、なかなか豪快な気分でした。
(蚊に刺されたけど。)


スタッフの方が親身に親切。
応援したくなる宿なのでした。
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そのお風呂で、チャーミングな母娘の会話を採集したのであります。(↓)
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