2015.04.29 Wednesday
なかぐろ(答え合わせ)
★日本語【中黒】
では、答え合わせをいたしましょう。
(下の方に、おまけ写真あり。)
「・」をなかぐろ(中黒)と呼びます。
ふつうは名詞を前後に並べ、その並びの関係が対等であることを示します。
「猫には、三毛・灰色・サビ・白など、いろいろな毛色がある。」のように。
ですから、きのうご紹介のこの広告文は、重大なミスですな。
ミス、と言っちゃっていいと思うんですよ。
だって、
・シミのない肌
・ハリのない肌
2つは、まったく需要が正反対。
その両方を同時に対等に追求する化粧品って、いったいどんなの?
なーんてイジワルを言いたくなりますもん。
もちろん、書いた人は、つぎの2つを並べたつもりだったのでしょう。
・シミ
・ハリのない肌
でも、なかぐろの性質上、読む人は、その前後に並ぶものを、
見た目からもボリュームからも対等のものとして読み取りがちです。
だから、読み手の視線は、とっさに前後のカタカナ2文字を拾い上げ、
「{シミとハリ}のない肌」という読みを脳内に浮上させてしまう。
その場合でも、ま、さいわい文は完結してませんからね、
「〜に和漢のちから......」のうしろを無理くり2通りに解釈すれば、
かろうじて筋は通らんこともない。
・和漢のちからがシミのない肌にします!
・和漢のちからがハリのない肌に効きます!
でも、違う要素を省略するなんて、ルール違反です。
いくら文脈依存度の高い日本語でも、そこまで甘えちゃいけません。
*
「間違った日本語」ではないけれど、「不親切な日本語」、
読んでスルっと理解さるべき広告の文面としては、NGでしょう。
この手の「なかぐろ」使いのうっかり(ミス)、
化粧品や健康食品の広告に、わりとしばしば見られます。
効能の多さを謳おうとするあまりでしょうか。
「倦怠感・疲労回復に、グイッとこの1本!」なんてね。
宣伝部のみなさま、ご注意なされませ。
猫はいいよなあ。
シミもなければ、
ハリもない。
シミもなければ、
ハリもない。