もれなく参加のおじゃま猫が寝ているすきに――、
きょうの記事は、テッちゃん各位に捧げます。
鉄道ファンの方々は、こんな部分写真だけでも、
これが何なのか、おわかりになるのでしょうね。
左右の大きなポケットとはべつに、
右の胸にこんなかわいいポッケが。
いわゆる「ナッパ服」です。
紺色なのに「菜っ葉」とは、これいかに。
まあ
緑色の信号も
青信号と呼ぶ日本語ですから、
そのへんはご了承いただくとして、
このナッパ服は、国鉄時代、高山本線の機関士をしていた亡父のものです。
国鉄って何?と思ったそこの若人よ、
日本
国有
鉄道のことですよ。
今はJRとか呼ばれている、あの組織です。
わが父は、その高山本線で蒸気機関車の機関士をしていました。
シュッポシュッポ煙を吐いて走るSLを運転していました。
かっけー。
(SL廃止後は、ディーゼル機関車になりましたけれども。)
襟はキリっと詰襟で、袖はかわいいラグラン袖。
なかなかオシャレですよね。
乗務のときはもうちょっとカッチリした服だった気もしますが、
これだったのかなあ。
とにかく、頭には帽子をかぶって、
アゴひももシャンと締めていたような記憶があります。
ズボンのフライは、ボタン止め。
しかも比翼仕立てになっています。
退職してしばらくしてから、
「由美ゃ、こういうの好きやろ。」と言って、
私にくれました。
父はわりと体格のいい人でしたから、私にはブカブカでしたが、
それでも何だか心たのしくて、薪集めで山に入るときとか、
庭で薪を割るときに、たまに身につけていました。
でも、何しろ純綿製で、洗うとくっちゃくちゃになるし、
乾きにくいし、重いし、で、あまり実用的とはいえず、
ついついタンスの肥やしになっていました。
それが、1年ほど前、熱烈な鉄道ファンと知り合いになりまして、
何かの話のついでに、「私、ナッパ服持ってますよ。」と自慢したら、
たちまち目を輝かせて、見たい見たい!とおっしゃる。
そのあまりの喜びように、いや、もらってくださいな、と言ったら、
そりゃもう喜んでくださいまして。
で、さしあげることにしました。
ゴワゴワのナッパ服に、どうにかこうにかアイロンをかけ、
高山本線の思い出などをちょろりとメモにして、ポケットにしのばせました。
しあげは、コロコロ。
猫飼いの家にある濃色の布というのは、どうにも厄介ですな。
念入りに灰色しましまの毛を除去。
と、そうこうしているうちに、
何だか「父を嫁に出す」ような、妙な心境になってしまって、
ひとりで行かせるのは不憫なような気になってしまって、
ふだん使っていたお気に入りの風呂敷に包みました。
風呂敷さんといっしょに輿入れさせようという、ね。
私より若いお人にもらっていただけたので、
その分、ナッパ服の寿命が延びたような気がします。
母も、話を聞いて喜んでくれました。
あんなもの欲しがらはる人がござるんやなあ。
それより、あんたがまだ持っとったことに、びっくりやわ。
めでたし、めでたし。
※ほんっとにもう、何のブログなんだか、迷走しております。
連休をまたいだら、通常営業にもどれるんではないか、と
はかない望みを抱いております。
今しばらく、ゆるゆるとおつきあいくださいませ。
※追記(5/28):過去記事に高山駅操車場のことを書いていました。
⇒☆こちら。不鮮明ながら、扇形車庫や転車台の写真あり。